小型犬のチワワと大型犬のセントバーナード。
どうして同じイヌなのに大きさが違うんだろう?
身体の大きさを決定する遺伝子についてScience誌4月6日号に報じられていた。
人間のよき友として品種改良が重ねられてきたイエイヌ(Canis familiaris)だが、身体を小さく保つ秘訣がわかれば、更なる品種改良戦略にも役立つかもしれない。そう考えたNational Human Genome Research InstituteのSutter NBらは、同じ種に属しながらも極端な体格差を有するイエイヌ)の体格差を決定する要因について調べることにした。
彼らは、数百人の飼い主から犬の血液を集めて全遺伝子について調べた結果、まず、15番染色体上に身体の大きさを決定する量的形質遺伝子座が存在することを突き止めた。次にサイズの違う種別にわけて体格差と遺伝子の違いを探ったところ、インスリン様成長因子1(IGF-1)と呼ばれる成長ホルモンに違いがあることを見出した。
IGF-1のハプロタイプの違いは143種のイヌで確認された。IGF-1の量が多いと体格は大きくなり、たとえばその中のアミノ酸の一個が異なるだけで小型犬か大型犬かが決まるのだから、不思議な話である。
▼Wikipedia:イヌ
▼【Science】 Science. 2007 Apr 6;316(5821):112-5.
A single IGF1 allele is a major determinant of small size in dogs.
小人症(通常、標準身長-2SD以下)と巨人症の人だって、せいぜい3倍くらいの違いが限度なのに、イヌでは、普通の状態での体格差が小人症と巨人症くらいの違いとして存在するのである。また、我々アジアの人種の体格は欧米人に比べると小さいといえども、2倍も違うようなことはない。
これまで、イヌの体格差を不思議と思ったこともなかったけれど、それを不思議と思える「ちから」を持ちたいものだ。
近頃、娘は「なんで、なんで」と何にでも疑問を持つようになってきた。このような素朴な疑問こそが本質を見据えた鋭い観察研究の始まりになるのかもしれない。疑問を持つという大切なことを思い起こすのだった。