[Diabetes Care] 2型糖尿病はパーキンソン病のリスク

糖尿病は眼、腎臓、末梢神経と全身の合併症を引き起こすことが知られているが、糖尿病による合併症はそれだけにとどまらないのかもしれない。

フィンランド国立公衆衛生研究所のGang Hu博士らが糖尿病専門誌Diabetes Careに報告した前向き試験の結果によると、2型糖尿病患者は一般集団よりも1.85 (95%信頼区間:1.23-2.80)、パーキンソン病になりやすいらしい。

25-74歳のフィンランド人51,552名を長期観察した研究において、研究開始時点で2型糖尿病の既往歴があった男性591名、女性507名のうち、追跡開始時点でパーキンソン病の既往歴のあった者はいなかった。

そして、追跡期間(平均18年間)中に男性324名、女性309名がパーキンソン病を発症し、診断時の平均年齢は、それぞれ、64.3歳、65.8歳と若く、BMI、収縮期血圧、総コレステロール、学歴、余暇時間の身体活動、喫煙、飲酒量、コーヒー・紅茶の消費量について補正しても、結果はほとんどかわらなかった。

Hu博士は、いくつかのライフスタイル因子が2型糖尿病とPDの両方のリスクに関連していると指摘している。

・動物実験およびin vitro研究から、インスリンは脳ドーパミン活性の調節に働いている可能性がある。
・喫煙は2型糖尿病のリスクを上昇させる一方、パーキンソン病のリスクを低下させる。
・カフェインは2型糖尿病のリスクとともにパーキンソン病のリスクも低下させる。

Health Professionals Follow-up Studyでは男性において運動量の増加はパーキンソン病のリスク低下を伴ったのに対し、Nurses’ Health Studyに参加した女性では身体活動とパーキンソン病の関連は認められていないことも指摘しており、今後検討すべき課題もある。

とはいえ、本結果は2型糖尿病がパーキンソン病のリスク因子であることを認めた初の大規模プロスペクティブ研究である。

【PubMed】 Diabetes Care. 2007 Apr;30(4):842-7. 
Type 2 diabetes and the risk of Parkinson’s disease.
【Medscape】
Type 2 Diabetes Is Linked to Increased Risk for Parkinson’s Disease

どのようなメカニズムで両疾患がつながっているかは明らかでないが、2型糖尿病とパーキンソン病に共通する要因が多く見つかっているところに、何か病態解明のヒントがありそうだ。