[Science] お見合いの効用_メダカの場合

「釣書はこちらです」

渡された釣書(つりがき)と呼ばれる写真付きのプロフィールをみても特段魅力を感じるわけでもないが、会ってみなければはじまらない。おせっかいな世話人がお見合いを進めるに際して写真を見せるのにはわけがある。

事前に相手の容姿を見て知っていたほうが恋の成功確率は高いのだ。すくなくとも、メダカの場合には。

東京大学の奥山らがサイエンス誌に発表したところによると、オスとメスをガラス越しにお見合いさせた後、同じ水槽に入れると交尾までの時間がいきなり同居したときよりも早くなるらしい。

また、彼らの観察によると、事前にお見合いしたオス、見知らぬオス、メスの3匹を同じ水槽に入れると、生まれた稚魚の約9割がお見合いしたオスとの子供であった。

なぜ、メスは見た事があるオスに気を許すのか?

研究者はメスの脳の働きを詳しく調べてみることにした。その結果、Terminal-nerve gonadotropin-releasing hormone 3 (TN-GnRH3)ニューロンと呼ばれる神経細胞が活発に働き、ホルモンを分泌していることがわかった。そして、TN-GnRH3ニューロンの働きを人為的に抑えてやると、お見合い効果はなくなった。

同じような働きが人で見つかれば、人が恋に落ちるメカニズムも解明できるかもしれないと研究者らは考えている。

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PMID:24385628
Science. 2014 Jan 3;343(6166):91-4. doi: 10.1126/science.1244724.
A neural mechanism underlying mating preferences for familiar individuals in medaka fish.
Okuyama T, Yokoi S, Abe H, Isoe Y, Suehiro Y, Imada H, Tanaka M, Kawasaki T, Yuba S, Taniguchi Y, Kamei Y, Okubo K, Shimada A,Naruse K, Takeda H, Oka Y, Kubo T, Takeuchi H.

NHK News
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140103/k10014241271000.html