[NEJM] 妊娠中の抗てんかん薬服用と3歳児のIQの関係 

妊娠中のママの栄養状態は大切なものである。

ママが妊娠中の服用した薬の影響で子供のIQが低くなるとしたら、これはぜひとも避けたい出来事であろう。これまで、動物において低用量の抗てんかん薬が生まれた子供の認知機能障害や行動障害を起こすことは知られていたが、人においての影響ははっきり示されていなかった。

今回、1999年~2004年に抗てんかん薬(カルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトイン、バルプロ酸)による治療を受けていた妊娠女性を対象にした臨床研究の中間解析結果が報告された。

エモリー大学のK.J. MeadorらがNew Engl J Medに報告したところによると、母親の IQ や年齢、抗てんかん薬の用量、出生時の在胎週数、および妊娠前の葉酸服用で補正後の平均IQは、ラモトリギン 101、フェニトインで99、カルバマゼピン 98、バルプロ酸で 92と、胎児期におけるバルプロ酸曝露は、ほかの一般的な抗てんかん薬への曝露に比べて、3 歳の時点での認知機能障害のリスク増加が大きかった。

今回の結果は,妊娠の可能性がある女性にバルプロ酸を第一選択薬として使用することは控えるべきであることを示している。

▼⇒原著をみる
PMID: 19369666
N Engl J Med. 2009 Apr 16;360(16):1597-605.
Cognitive function at 3 years of age after fetal exposure to antiepileptic drugs.

もともと添付文書(薬剤の使用説明が書かれた書類)上では、原則禁忌になっている薬剤であるから、このような薬剤を使った試験を行えることが驚きである。本試験は対照群がなく、無作為化されていないという難点はあるものの、妊婦への薬剤使用を考える上で気になる結果であろう。

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