6月1日は、毛はえ薬の雄、リアップx5 の発売日であった。
抜け毛を防ぎ、なんとかふさふさの髪の毛を維持したいと思う壮年の心を揺さぶる商品の登場である。僕の目の前の席に座る彼は、早速購入したのだろうか?
しかし、なんですな。
この商品、医薬品に分類されることから薬局で対面販売を義務づけているが、薬局ではろくな説明をするわけでもなく、ネット販売も規制されるとなると、目線が上を向く店員を目の前に、購買意欲もうせようというものである。
はてさて、そんなどうでもいいことはさておき、米国アカデミー紀要に報告された日本人の報告を取り上げてみようと思う。世界ではじめて、髪の毛を体につなぎ止めておくのに重要な遺伝子を見出したものである。
国立遺伝学研究所のKiso Mらは、神経細胞の発生や増殖に関わることで知られる転写因子Sox21遺伝子を欠損させたマウスを作った。
Sox21が制御する蛋白は、髪の毛の毛包層の一番外側を構成するいわゆるキューティクル層に特異的に発現するケラチン蛋白であり、この蛋白を作るのに必要な転写因子Sox21を欠損させたマウスでは、生後15日目頃から頭髪が抜け落ち、約1週間後には全身の毛が抜け落ちて完全なヌードマウスになった。しかし、このマウス、一旦毛が抜け落ちた後にはまた毛が生えてきて、25日後に再び脱毛を繰り返したのである。
電子顕微鏡の観察によると、毛を毛根に繋ぎ止めるのに必要な鉤形構造の形成にSox21によって制御される蛋白質が関わっていた。
本結果は、男女性別を問わずに生じる脱毛や薄毛の原因として、髪の毛のキューティクルが大切であることを示したものである。
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PMID: 19470461
Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 May 26. [Epub ahead of print]
The disruption of Sox21-mediated hair shaft cuticle differentiation causes cyclic alopecia in mice.
Link to Headline ————————–
▼The Daily Telegraph, May 27 2009
Gene linked to hair loss brings cure for baldness nearer.