[Am J Obstet Gynecol] 妊娠中のカフェイン摂取は危ない?

ちょっと待って。
子供を授かり幸せそうにコーヒーをすする彼女に医師は注意を促すのだった。
もしかしたらその医師は、米国産婦人科ジャーナルの最新報告を見たのかもしれない。

:idea: コーヒー摂取は○○に良いという話題は、これまでいくつも取り上げてきたが、今回取り上げる話題は、コーヒーの負の面を論じるものである。これまでにもカフェイン摂取が流産のリスクを高めるという報告はあったが、過去の研究では方法論に異論もあった。

:?: 今回、米国最大の健康医療団体であるKaiser Permanente(オークランド)の研究者らは、1996年10月~1998年10月にかけて同州サンフランシスコの妊婦1,063名を調査し、コーヒーやお茶に含まれるカフェインを摂取する量が多いと流産のリスクが大幅に高まるこを報告した。

カフェインを全く摂取しなかった妊婦に比べて摂取した妊婦では流産のリスクが高く、そのリスクは、1日200ミリグラム(コーヒー2杯相当)以内のカフェインを摂取した妊婦は1.42倍、200ミリグラム以上のカフェインを摂取した妊婦は2.23倍であった。

また、妊娠中の吐き気や嘔吐は結果に影響を与えておらず、過去に流産を経験したことのある妊婦よりも流産未経験の妊婦において、カフェイン摂取と流産の関連はより強く現われた。

今回の結果がコーヒーだけでなく紅茶などを通じてカフェインを摂取した妊婦でも流産のリスクが高かったことから、研究者らはカフェインが流産のリスクになる原因物質であると考えている。

そして、代謝機能が十分に発達していない胎児にとって、胎盤を通じて入り込むカフェインは血流減少など胎児に悪影響を与える可能性があるとコメントしている。


【ErurkAlert】
Cranberries might help prevent urinary infections in women
【PMID: 18221932】Am J Obstet Gynecol. 2008 Jan 24 [Epub ahead of print]
Maternal caffeine consumption during pregnancy and the risk of miscarriage: a prospective cohort study.

本研究では、喫煙の有無によっても層別分析しているが、喫煙者ではカフェインのリスクは消失している結果となっている。これは流産の既往歴と同様、流産のリスク因子として喫煙が相当大きなものであることを暗に意味しており、本論とは関係ないところで改めて妊婦の喫煙の悪影響に思いを馳せるのであった。

ところで、カイザーパーマネントは、このような研究結果をどう利用しているのだろうか?おそらく研究結果をもとに医療保険のプランを練っているのだろうが、保険加入時のアンケート結果で、何気なく書いたことが自分の保険料査定に利用されているとしたら、米国において保険会社の加入時アンケートは慎重に考えなければいけないのかもしれない(そうでないかもしれない)。

映画シッコをみて、米国の医療保険に思いをめぐらすのであった。

公式サイト
http://sicko.gyao.jp/