[Nature Cell Biology] 暗闇が必要な訳

もう~、寝れないよう~!
明るいから寝ることが出来ないと主張するわが息子。
本当は寝たくないだけなのはわかっている。
食事中にすら寝てしまうくせに生意気な奴だ。
しかし、夜寝るときに部屋を暗くすることは非常に大切なことなのである。

:idea: 理研の研究者Hideki Ukaiらが、Nature Cell Biologyのレターで発表した成績に「真夜中の光が体内時計を狂わすメカニズム」が紹介されていた。

 

:?: 彼らは、マウス皮膚細胞に光応答性の物質であるメラノプシン(melanopsin)という網膜の色素を組み込み、体内時計が働くと細胞が光る実験系を作成した。通常ならマウスの皮膚細胞が光を感じることはないはずだが、ここでは、メラノプシンを利用して光を感じ取ることが出来る細胞に強引に変えたわけである。

その結果、皮膚細胞に様々なタイミングで光を当てて観察することで細胞レベルで体内時計を観察することが可能になった。この実験系において、真夜中に光を当てると朝方の発光が少なくなり、夜中の光が朝方の体内時計の働き(光を感じて発光する能力)を弱めることが証明された。

また、光を連続してあてると体内時計の一部が停止し、個々の細胞が同期して光に反応しなくなること(脱同期化)が観察された。コンピュータシュミレーションにより試験管内での試験結果を生体にあてはめたところ、視交叉上核において、細胞個々レベルで光刺激に対する脱同期化が生じていることがわかった。

【Nature Cell Biology】Published online: 21 October 2007;
Melanopsin-dependent photo-perturbation reveals desynchronization underlying the singularity of mammalian circadian clocks

暗闇がないと光を感じ取る力が弱まるということであり、細胞一つ一つに体内時計が組み込まれているなんて面白い。

光があるから影がある。
暗闇があるから朝がある。
朝があるから、リズムが生まれる。

そういうことなのかもしれない。