[Thorax] 帝王切開でうまれた子供は喘息のリスクが高い

経膣分娩に比べて帝王切開で生まれた子供は、喘息のリスクが高いという結果が以前にノルウェーの疫学調査から報告されていた。果たして本当なのだろうか?

NIHのRoduit Cらは、ママのお腹を切り開いて生まれてきた子供が将来喘息になりやすいのかどうかを前向きに調べることにした。8歳時点での喘息の罹患率は12.4%(n=362)であり、ゼーゼーいう息(喘鳴)や呼吸困難、ステロイドの処方などから喘息を判断した。

全体の8.5%が帝王切開で出産しており、帝王切開で生まれた子供は通常の分娩(経膣)で生まれたこどもよりも1.79倍(95%信頼区間:1.27-2.51)喘息になりやすいことが分かった。喘息のリスクは、両親ともにアレルギーだった場合には2.91倍(95%信頼区間:1.20-7.05)高く、両親ともにアレルギーでなかった場合には1.36倍(95%信頼区間:0.77-2.42)であった。そして、帝王切開とIgE抗体感作との関連は、両親がアレルギーでなかった場合にのみ認められた。

帝王切開による喘息リスクの増加は、乳児期の細菌への暴露が帝王切開により妨げられているために生じるとされている。

▼physorg.com
Caesarean sections associated with risk of asthma
▼ Thorax. 2008 Dec 3. [Epub ahead of print]
Asthma at 8 years of age in children born by cesarean section.
▼ J Pediatr. 2008 Jul;153(1):112-6.
Cesarean section and risk of severe childhood asthma: a population-based cohort study.

アレルギー疾患が増加したのは、衛生状態がよくなって細菌感染など外的へ向かっていた免疫反応が内側への攻撃をするようになってしまったからだという考え方(衛星仮説)がある。

しかし、衛星仮説がすべてを説明するわけでもなかろうと思う。たとえば、妊娠前に喘息発作が生じた妊婦は、そうでなかった妊婦よりも出産に伴うリスクは高まるといわれ、帝王切開出産は、喘息のママの方が多いことも言われている。少なからず、親の素因は子供に受け継がれるだろうから、このようなことも帝王切開における喘息リスクの上昇と関係あるのではないかと思う。

▼Am J Respir Crit Care Med. 2007 May 15;175(10):991-7.
A comprehensive analysis of adverse obstetric and pediatric complications in women with asthma.

近頃、かぜをひいて、夜中に「犬吠様咳嗽(のどが炎症を起こしていて犬の遠吠えのような鳴き声)」をする息子は、帝王切開で生まれている。我が家のママは、アレルギー体質である。

なんだか気になるニュースなので取り上げた。