[Nature] 情けは人のためならず 懲罰は非効率

人の喜ぶことをしなさい、
いつかその喜びが自分に返ってきますよ。

小さい頃、よく母親に言われたものである。
そして、今、子供に伝えている。

他者に対する利他行動は直接には報酬として自分に戻ってこないかもしれないが、まわりまわって別の他者からの報酬として返ってくる。このような仕組みのことを間接互恵性という。間接的互恵性によって協力が進化することにより、「あの人はいい人だ」というような評判が形成され、道徳判断や社会相互作用が生まれてくることになる。 

今回、東京工業大学のH Ohtsukiらは、間接互恵性の効率的な戦略は「協力しない人に対して罰を与えるのではなく、協力を差し控えることである」ことをNatureの2009年1月号に報告した。

▼Nature 457, 39-40 (1 January 2009)
Game theory: How to treat those of ill repute
▼Nature 457, 79-82 (1 January 2009)
Indirect reciprocity provides only a narrow margin of efficiency for costly punishment

正直言って内容は難しすぎてよくわからないのだが、多くの成功者の言葉を思い出す。成功者のエピソードには、よく人に感謝される奉仕活動を通じて自らの活動がまた助けられたエピソードが登場する(ように思う)。より良い協力の輪を広げていく上で、人に喜ばれる活動、親切にすることの大切さを伝えるものであろう。

非協力的だからといって罰をあたえることは、多くの場合非効率的なものであり、懲罰戦略をとることは集団としての平均的利得を低下させるのである。懲罰はケンカを生むだけであり、懲罰が戦争を起こすのであろうと思う。

そんなことを考えた。