パク!
獲物に食いつき、あっという間に流し込む。
ほとんどの魚類は口腔内の水流をつかって獲物を飲み込むことが出来るが、ウツボ君には吸引能力が不足していた。さてどうするウツボ君?
今回、カリフォルニア大学デービス校のR.S.Mehtoらは、ウツボののどの奥にある咽頭顎が口腔内に飛び出し獲物をつかむ映像をNatureに寄せた。
硬骨魚類では、口腔内の水流を使って獲物をのどの奥の「咽頭顎(pharyngeal jaw)」に流し込む仕組みを利用し、獲物をうまく飲み込んでいるが、ウツボ君の体は細長すぎた。あまりに体が長いため、吸っても吸っても吸い足りない。そこで、ウツボ君は「うまく吸引できないなら、あごを変わりに突き出せばいい!」と考えたのかもしれない。
ウツボは咽頭顎を制御する筋肉を伸ばし、同時に隣接する鰓弓構造をギュッと縮めることで非常に高い可動性を実現しているようである。こうした仕組みにより咽頭顎が頭骨の後ろから前へ出て口腔顎内へ達するため、うまく吸引できない点を補っているわけだ。
▼【Nature】ビデオ
▼【Nature 449, 79-82 (6 September 2007) 】
Raptorial jaws in the throat help moray eels swallow large prey
▼【Nature 449, 33-34 (6 September 2007) 】Zoology: Twice bitten
→ Video Action 1
エイリアンに出てくる怪物のようなこの仕組み、それほど目新しいとは感じていなかったが、大きな革新的特徴を示す映像として価値があるようである。Natureの記事によると、今回発見した仕組みは、ウツボがさんご礁の入り組んだ基質内で獲物を獲る最上位捕食者として寄与していると考えられ、ヘビに見られる歯止め機構と仕組み上で類似しているのだそうだ。