[Nature] なぜ甲殻類加工業従事者に喘息患者が多いのか

かきの打ち子に喘息が多いそうだね。何故だろう?
ほや(貝)にはアレルギーを惹起する抗原性があるって聞いたよ。
なるほど、貝類や甲殻類加工業のひとにも喘息患者が多いそうだね。
そういえば、てんとう虫も室内アレルゲンになるそうだよ。

:?: Howard Hughes Medical InstituteのTiffany A. Reese1らは、昆虫や甲殻類、真菌など幅広く分布する物質をつなぐ共通因子としてキチンに注目した。キチンは自然界での存在量が2番目に多い重合体であり、数多くの細胞や細胞壁、堅い外骨格を構成して細胞強度を増すのに役立っている物質である。

キチンを投与したマウスでは、好酸球や好塩基球などのIL-4を発現する自然免疫系細胞が組織内に集積する様子が観察され、組織への浸潤は、Toll様受容体を解するリポ多糖認識を欠いても起こった。しかし、キチンの分解酵素であるキチナーゼ(AMCase)の投与によって、これらの反応は起こらなくなった。

また、キチンはin vivoで選択的にマクロファージを活性化し、免疫細胞動員に必要なロイコトリエンB4の産生を引き起こした。

以上の報告は、Nature5月3日号に報告された。

Nature 447, 92-96 (3 May 2007)
Chitin induces accumulation in tissue of innate immune cells associated with allergy

8-O 以前に学会等で、ほやには硫黄化合物が大量に含まれており、それがほやを破壊すると空気中に飛散して硫黄の化合物である亜硫酸ガスとなり、喘息発症に関わると聞いたことがある。

また、てんとう虫が喘息を増やすとか、ゴキブリの住む家は喘息児が多いなどの報告も出ている。

こうした幅広い自然界の動物や昆虫たちがどうして喘息を引き起こすのかについて、その共通項を示してくれた話題であり、面白い。