おしっこが近い!
おしっこが出ない!
夜、トイレへ行ってばかりいる!
そんなおしっこ関連のことで困っている女性は密かに多いらしい。
「しも」の話題は女性にとってなかなか恥ずかしいことかもしれないが、実は多くの女性が膀胱機能の障害で困っている。今、大手製薬会社が泌尿器領域へ新たな薬をもって参入し、過活動膀胱なる疾患が注目を集め、8人に1人が過活動膀胱だという話を出てきている。
この過活動膀胱という疾患概念は、本来、単純なものなのだが、ケースバイケースで、本当はものすごく複雑なのかもしれない。たとえば、糖尿病の場合には、糖尿病合併症としての神経障害の影響も考えねばならず、一筋縄では病態を説明するのが難しい。
糖尿病に伴う膀胱機能障害は、膀胱知覚の障害、膀胱容量の増加、排尿筋収縮力低下、排尿後残尿量の増加などの特徴を有し、このような状態が続くと腎機能障害をも引き起こすため、早いうちに見つけることが大切になる。
今回、Hoping Branch of Taipei City Hospital(台湾)のLee WC氏らは、2型糖尿病の女性182名を対象に下部尿路症状、および、尿流量や排尿後残尿量を調べ、健常女性197名と比較した成績がUrologyに報告されていた。下部尿路症状とは、「頻尿、切迫感、夜間頻尿、残尿、尿勢低下、腹圧排尿」などをいい、研究ではAmerican Urological Association Symptom Index(AUA-SIスコア)を用いて症状を評価した。
検討の結果、25.8%(47名)に膀胱機能障害を認め、膀胱機能障害を有する糖尿病女性では、最大尿流量は健常者よりも低く(15.2±1.2 vs. 25.8±0.6 mL/s、p
著者らは、初めて糖尿病女性は膀胱機能障害が多いことを示したと記しており、AUA-SIスコアや最大尿流量が膀胱機能障害のマーカーになるかもしれないと結論付けている。
▼【PubMed】Urology. 2007 Apr;69(4):685-90.
Lower urinary tract symptoms and uroflowmetry in women with type 2 diabetes mellitus with and without bladder dysfunction.
糖尿病患者は、のどの渇きにより水をたくさん飲むのに、神経障害によって尿を出し切ることが出来なかったり、逆に尿がたまっていることを感じにくかったりすることがある。著者らは、膀胱機能障害がなくても糖尿病女性は夜間多尿のリスクが増しているとも記述している。
糖尿病と膀胱機能に関する他の論説などをみても、糖尿病では低活動膀胱(膀胱が収縮しにくい状態)がメインだとしながらも、過活動膀胱(膀胱が収縮しやすい状態)が並存することもあると書かれていたりして、相反する状態が同時にあるようで、この領域、知れば知るほどわからないことが増えてくる。