え!本当に副作用ですか?
はい、因果関係が否定しきれないので・・・
本当に副作用なのかどうかはわからないなか、自殺行動が騒がれているタミフルだが、Lancet誌までが取り上げたようだ。
さて、どんな取り上げ方をしているだろうか?
LANCET誌は、エディトリアルの中で「日本の厚労省は、10-19歳の若者に対してタミフルを処方をしないよう医師に対して警告を通達した」ことを報告し、この発表が少年少女各1名(計2名)の異常行動(自殺)に呼応したものであると記している。また、タミフルによる54名の死亡に関する詳細な観察にもかかわらず原因究明はならず、異常行動はインフルエンザやその関連合併症として起こった可能性が半々であると述べている。
そして、Lancet誌は「いくつかの研究でも重篤な副作用の証拠を見出せずにあり、こうした研究のひとつ、横浜市立大学からの2800名の報告には、販売元である中外製薬から1千万円の寄付があったことも表面化している」ことや、「日本政府はタミフルによる異常行動の副作用に対して警告を出さないという結論が正しいかどうかは、さらに1万人程度の規模の大きな研究を待っているところである」としている。
EMEA(European Medicine Evaluation Agency)では、タミフルの製品情報更新を推奨し、「痙攣や意識レベルの低下、異常行動、幻覚・妄想がタミフル投与中に報告されているが、事故に至るのは稀である」と報告しており、欧州のEMEAや米国のFDAはリスクよりも利益を優先している状態にあるので、健康な10代の若者が自殺した行動が新薬と可能性があるならば、これを真摯に受け止める必要があり、日本政府の決断は正しいとコメントされていた。
▼The Lancet 2007; 369:1056 Editorial
New concerns about oseltamivir
確かに「タミフル」は、健康な人が罹患したインフルエンザの治療に対しての必須の薬かといえば、治りを1日程早め、早く楽になる程度の効果しか無いわけだし、免疫力が低い子供への投与は、それほど効果的なものだとも思えない。そういう意味で「タミフルを子供に投与するのは要注意」とアナウンスされるのは当然のことなのかもしれない。
一方で、今の報道のあり方を見ていると、この薬がまったく無用のものであるかのような印象を与えるものも散見される。上記のLancet誌のコメントは、副作用情報に慎重になる立場を支持したものであり、タミフルが危険であることを述べたものではないはずである。
副作用報告とその取り扱いについていつも疑問に思うのだが、薬の添付文書などをみると副作用が山ほどありすぎて、本当に注意すべきものがどうでもいい情報に埋もれてしまっている気がする。そうかと思えば、タミフル騒動のようにマスコミが騒ぎすぎて必要以上に物騒な騒がれ方をすることもある。ちょっと過熱報道は、やめにしてもらえないだろうか?
こんなことを書きつつ、自分も騒ぎに踊らされてこんなエントリーを書いている矛盾に気がつき、反省するのであった。