つい先日、機会あってスポーツジャーナリストの二宮清純氏の講
演を聞きました。「勝者の思考法」と題した講演の中で二宮氏は
「準備の力」の重要性を強調していました。そして、同時に情熱
を持って取り組むことの意味、実際に行動することの価値が述べ
られました。
印象に残った言葉があります。
前日本サッカー協会のチェアマン、川渕三郎氏がJリーグを作ろ
うとしたころの会議の席上で言った言葉だそうです。
時期尚早というひとは100年たっても時期尚早という。
前例が無いという人は200年たっても前例がないという。
続いて
仕事ができない奴を見てみろ
仕事ができない理由を探してばかりいる。
仕事とは最初は出来ないものなのだ。それを出来るように
変えていくのが仕事なのだ。
僕は最後の言葉にいたく感銘を受けました。
仕事は最初は出来ないものなのだ。本当にそうかもしれません。
ノーベル賞発表の季節、
最初は「出来ない」「無理だ、不可能だ」といわれていたこと
を創意工夫により可能にした人々がノーベル賞の栄誉に輝いて
います。
2010年のノーベル生理学・医学賞を受賞した英ケンブリッ
ジ大のロバート・G・エドワーズ名誉教授(85)は「体外受
精技術の開発」により栄誉を勝ち取りましたが、倫理的問題は
とにかく、最初は「出来なかった、不可能だったこと」をでき
ようにした点ですばらしい業績だと思います。
2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩氏も、当時様々
な研究者が挑戦して失敗していた光る物質の仕組み解明へ向け
てとりくみましたが、100万匹のクラゲを捕獲して取り組む
という情熱抜きにはやり遂げられないことを行いました。
今回のノーベル化学賞に輝いた根岸英一氏、鈴木章氏にしても
同様、有機物同士を思い通りに合成するのは難しかったころ、
安価に合成する道を切り開いたことが大きな仕事として評価さ
れたわけです。
仕事をしていると、「そんなの無理だよ」といいたくなること
がありますが、難しいことを一つ一つ解決し、進んでいくのが
仕事だと思えば、難事にあたることも必然に思えてくるのかも
しれません。
スポーツの勝者に見る成功の秘訣は、勝つための準備をしっか
りして、知恵を振り絞り、しっかり行動に移すことだと二宮氏
は講演会で述べていました。
そして、冒頭で紹介した川渕氏のエピソードの続きとして、次
の言葉を紹介します。
時期尚早というひとは、やる気が無いから時期尚早という。
前例が無いという人は、アイデアがないから前例が無いと
いう。
優秀な科学者は前例がないところに、アイデアを持ち込み、
誰もやっていない時から難題に取り組み、
情熱をもって行動に移しているから、大きな壁を乗り越えて成
果を上げることが出来ているのだと思います。
成功する人には科学の世界、スポーツの世界問わず、共通点が
あるように思えます。
ノーベル賞をとるほど高度な仕事をしているわけではありませ
んが、最初は「出来ない!」と思うことも「どうやれば出来る
のか?」という発想で取り組むことの重要性を感じるのでした。
どこかで誰かに聞いた言葉だったかもしれません。
もしかしたら自分で作った言葉かもしれません。
時間が無いから出来ないというひとは、
優先順位が低いから時間が無いという。
いつもこう思いながら優先順位を考えて仕事に取り組んでいる
のですが、絶対的な時間が不足していると感じる今日この頃。
はたしてこれは、創意工夫と情熱で解決できるものなのでしょ
うか?
出来るものと信じて取り組みたいものです。