今年もやってきましたイグノーベル賞。
「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して贈られる、馬鹿らしくも大真面目な研究。
ここ最近は日本人研究者の連続受賞が続いているが、今年もまた日本からの受賞者が登場した。
SpeechJammer＿イグノーベル賞2012年受賞
受賞したのは産総研 情報技術研究部門の栗原一貴氏。
受賞対象は、Acoustics Prize(音響学賞)である。
彼は、指向性マイクと指向性スピーカーを組み合わせ、離れた場所から特定の話者がしゃべるのを邪魔するシステムの開発したのである。
通常、人は自分の発話を自身で聞き取り、聴覚にフィードバックされた音声を確認しながら発話している。ところが、自身が発話した音声が、数百ミリ秒程度遅れて自身の耳に聞こえてきたらどうなるだろうか。自身の意識とフィードバックされてくる音声にズレがあるため、その違和感により発話しにくくなってしまうことだろう。
こうした発話の遅延を強制的に起こさせる装置が今回の受賞対象となったSpeechJammerである。
この技術がすばらしいのは、発音しようとした対象者にしか作用しない点である。
この技術を使うことにより、会話のマナーやプレゼンテーションのトレーニングに活用することができるだろう。
たとえば、プレゼンでスピーチが早すぎると警告を出すシステムでは、強制力にも限界がある。
SpeechJammerを使えば、話者が発音しにくくなるのでスピーチを修正することとなる。