[Eur Respir J] 肺がん進展と血液型抗原消失

肺がん進行で血液型抗原が消えちゃうらしいよ
え、じゃあ、A型の人の輸血はどうなるの?
まてまて、血液型といっても肺組織の話だよ。

:idea: ABO型血液物質は赤血球にあるだけでなく、各臓器や各分泌液中にも認められる。組織にある全身性の抗原はABH式と呼ばれることが多く、組織の血液型抗原は細胞の分化や増殖、癌化にかかわると言われる。

 

:?: Gregorio Maranon大学病院(スペイン)のGregorio Maranonらは、組織での血液型抗原が消失すると予後が悪いと報告されていることから、気管支の扁平上皮化生における血液型抗原の消失を調べれば、肺がん患者のリスクを知るのに役立つのではないかと考えた。そこで、肺癌の疑いがあった患者100名の扁平上皮化生を調べ、血液型抗原の有無と癌進行との関係を調べることにした。

100名のうち56名は扁平上皮化生にA型血液型抗原をもち、B型血液型抗原を持っていたのは9名であった。A型6名(10.7%;うち3名は多発癌)、B型5名(55.6%;うち全例が多発癌)に血液型抗原の消失が見られ、その全症例で癌の進展が観察された。

【PubMed】Eur Respir J. 2007 Feb;29(2):268-72. 
Expression of histo-blood group antigens in bronchial squamous metaplasia.

8-O 「血液型性格占いはよくあたる」だとか、「血液型は擬似科学だ」とか、何かと血液型は人々に話題を提供してくれる。突き詰めれば面白い糖鎖研究だが、表面的理解にとどまると、疑似科学となってしまうので注意が必要だ。