[BMJ] 研究評価には改良が必要 

先生!この論文を見てください。
この雑誌、インパクトファクターいくつなの?
2.5です。
ふーん、それってすごいの?

:idea: インパクトファクターとは、その論文が平均どのくらいほかの論文に引用されているかを示したもので、多くの雑誌や論文で引用されたものほど、影響力の高い論文・雑誌だとみなされ(⇒説明)雑誌や論文の価値を示す指標として使われるものである。

インパクトファクター2.5がすごいかどうかは判断の分かれるところだが、NatureやScienceなど著名な科学総合誌と比べれば圧倒的に低い数値である。しかし、一般的には1以上あれば、国際的にも認められていると考えてよいと聞く。マニアックな専門分野の雑誌であれば、インパクトファクター2.5は、そこそこ高い値といえなくもない。

インパクトファクターの考え方は、Googleのページランクにも似たもので、確かによく読まれ、多くの人々の関心を集めたものがインパクトファクター高値として示されるが、必ずしも個々の論文の優劣を決めるものではないと思われる。

:?: BMJの3月17日号に、ブリストル大学のGareth Williamsらは、インパクトファクターは致命的な欠陥を有するものであり、学術団体はこれを使うべきでないとの見解を寄せている。一方、インパクトファクターの改良を主張するバーミンガム大学のRichard Hobbsらは、参照論文数を補正したり、引用監視期間の延長するなど現在の評価方法を改良することを提案している。

BMJ 2007;334:561-564 (17 March)
How impact factors changed medical publishing and science
BMJ 2007;334:568 (17 March)
BMJ 2007;334:569 (17 March)
Should we ditch impact factors?

8-O インパクトファクターの高い雑誌(LANCETやNew Engl J Medなど)の論文を眺めていて、その論文の掲載価値にしばしば疑問を感じたりしたものだ。今回のBMJでは、まさに「インパクトファクター高値=研究として優れている」という図式が幻想かもしれないことが論じられているといってもよいだろう。現在、研究基金などの基準を評価するのにもインパクトファクターによる判断基準が用いられているようだが、New Engl J Medなどの総合誌のインパクトファクターは高いのに比較し、Diabetologiaのような専門誌は、専門家には評価されていても総合誌にはインパクトファクターの面でかなわない。

良い研究、良い論文の評価とは、実に難しいものである。くれぐれも、インパクトファクターの数値にのみ捕らわれ、論文の真の意味合いを間違って捉えることのないようにしたいものである。