[PNAS] 肥満のトンボの研究

肥満症の虫っているのかな?
まさか?犬やネコが肥満するならわかるけど・・・
ペンシルバニア州立大学から虫のメタボリックシンドロームが報告されているよ。
:idea: 昨年の暮れの論文だが、タイトルの不思議さにぎょっとした。論文タイトルは「昆虫におけるメタボリックシンドロームと肥満」である。

:?: ペンシルバニア州立大学のSchilder RJらの報告によると、グレガリナ(Gregarina)と呼ばれる消化管へ寄生する原生動物は、トンボに寄生することでトンボの飛翔力を低下させ、血糖値を上げ、ヒトのお腹にあたるトンボの胸部には脂質が蓄積するのだそうだ。

健康なトンボにグレガリナを寄生させると、インスリン応答の異常が生じて血中の炭水化物は増加し、筋肉ではp38 MAPKの活性化が起こり、飛翔力低下をもたらすことになる。こうした現象はヒトでいうところのメタボリックシンドロームと類似しており、グレガリナの分泌物を投与するだけでヒトのメタボリックシンドロームに類似の症状を再現できることから、もしかしたら、昆虫がヒトのメタボリックシンドローム研究に役立つかもしれない。

【PubMed】Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Dec 5;103(49):18805-9.
Metabolic syndrome and obesity in an insect.

8-O グレガリナ(Gregarina)は、節足動物や環形動物の消化管などに寄生することが知られ、ヒトへの病原性は知られていないため有害昆虫を生物学的に制御できるかもしれないとして興味をもたれているのだそうだ。今回の論文は、トンボ研究によってメタボリックシンドロームのメカニズム研究ができるかもしれないというものであった。

肥満のネコやイヌは見たことがあるけれど、「肥満のトンボ」というのはいかにも不思議なイメージである。たしかに寄生虫感染させるだけで、ヒトのメタボリックシンドローム類似の症状を呈するとなれば、病態研究をする基礎医学の研究対象としても面白いかもしれない(?)。

小さいころ、「ファーブル昆虫記」を読んで昆虫博士になるという夢を抱いていたのが懐かしい。
ファーブル先生は、肥満のトンボに気がついていたのだろうか?

そんなどうでもよいことを考えた。

1 Comment

  1. 肥満のネコやイヌならわかりますが、昆虫が肥満するなんて驚きです。

    Comment by sky — 2007年4月2日(月曜日) @ 08時34分35秒

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