「んん、何だったかな~?」
患者の症状を聞き、兆候を調べた医師はGoogleさんに意見を求める。
「お!コレかな?」
そうやって、見つけた診断名が本当に正しいのかどうかを調べてみると、Googleさんは、案外、頼りがいのあるパートナーであった。
BMJの12月2日号にPrincess Alexandra病院のTang Hらが報告したところによると、「New Engl J Med」誌に掲載された26症例を用いて3~5個の特異的症状や所見を使ってGoogle検索したところ、58%(95%信頼区間:38-77)で正しい診断が得られたそうだ。
Googleはユニークな所見を示す場合に特に有効であり、外来診療に当たって医師がネットにアクセスできる環境を整えておくことは、役立つと思われる。ネット検索をうまく利用すれば、難しい症例を診断する助けになるだろう。
▼【PubMed】BMJ. 2006 Dec 2;333(7579):1143-5.
Googling for a diagnosis–use of Google as a diagnostic aid: internet based study.
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Googleの活躍はすさまじい。先日、翻訳コンテストでGoogleが優秀な成績を収めたことを取り上げたが、今回は診断名に迷ったときにもGoogleは役立つというお話である。PubMed上の論文抄録を単純に解釈すれば、医学辞書や専門書の役割をGoogleが担いはじめているいえなくもない。
ある意味、部分的には正しいだろう。しかし、面白いことに、患者自身がGoogle検索しても正確な診断にたどり着くのは難しいと思われ、医師が検索するときに選ぶキーワードこそが、検索結果の診断率に影響するのである。
今回の論文中で診断された病名は、「感染性心内膜炎、Cushing症候群、好酸球性肉芽種…」とちょっと特殊な病名であり、その病名を知った上で検索しなければなかな上手に正解へはたどりつけないものと思われる。
つまり、いくらGoogleがすばらしくとも、検索ワードを選ぶのは検索者であり、情報確度は検索者の知識に依存するのである。インターネット上には情報があふれかえっており、根拠薄弱な情報も数多い。
これからの時代、簡単に情報を得られるからこそ、バックグラウンドにある知識がものを言うことになるような気がする。インターネットをはじめとした情報技術をいかに使いこなせるかだけでなく、今現在ある知識の差も含めて情報格差が生まれるのだと思う。
先生のおっしゃる通りで、インプットする側の知識がかなり求められます。またご指摘の通り、特殊な病態は当たりやすいという傾向があると思いました。
しかし、いわゆる診断応援ツールのような位置づけにはまだまだ遠いですが、これから楽しみなところだと思います(人工頭脳というか知恵の集大成としては使えます)。もっとも、やはり医学的素養は本を読むだけでは無理で症例を目で見て経験しないと的確な診断は難しいことにはかわりありませんね。
(2006-12-06 03:25:52)
Comment by Skyteam(代理投稿) — 2007年8月19日(日曜日) @ 17時46分11秒
◆ 経験ということ
Skyteamさん、コメントありがとうございました。
医学的素養に限らず、経験をしてみないとわからないことというのは、たくさんあると思います。
診断応援ツールとしてのGoogleを多くの医師、患者が経験し、そのフィードバックからどんどん新しい技術が生まれていくのだと思います。
今後も、気になる記事がありましたら、コメントをお待ちしています。
Comment by Kenti — 2007年8月19日(日曜日) @ 17時47分57秒