「頑張れー!」
「フラフラになって倒れそうになりながらも走っています!!」
「ゴールまで、あと少し!」「頑張れ!!」
毎年、年末になると24時間テレビなどで、芸能人が遠距離をフラフラになりながら走るのが恒例になっている。甘いな~っと思ってみている。
一方、トライアスロンをはじめ、過酷な環境に身をおき、無茶にも思える冒険に挑戦する鉄人レースの競技者たちは、年末に登場する芸能人のような甘っちょろさはない。単純に、すごいな~と感心する。
例えば、Badwater Ultramarathonは、海抜85メートルから標高2500メートルまで215 kmのコースを競い、最高55℃の気温に達することもあるという非常にタフな徒歩競争の大会である。このコースを24時間36分で乗り切ったタフな男がいるそうだ。
こうした肉体を限界にまで追い込むタフなスポーツにのめり込む彼ら競技者たちは、いったいどんな奴なのか?
彼らのタフネスは、トレーニングの成果だけで説明できるのか?
それとも、遺伝的なタフネスがあるのだろうか?
H PearsonがNatureにレポートしたところによると、10Km競争などの短い距離のレースでは20代の若者が勝者になるのが普通だが、超耐久レースになると30代中頃のアスリートが勝者になる傾向があり、そして、耐久レースを勝ち抜くアスリートは、エネルギーの使い方が上手なのだそうだ。
通常競技のアスリートは、筋力を最大アウトプットで使うのに対して、耐久レースの競技者は6~7割程度のアウトプットを維持することが出来るそうである。また、カロリンスカ研究所のMikael Mattsonらの研究によると、耐久力の高いアスリートはエネルギー源として糖よりも脂肪をうまく使っているらしいことを報告している。
一方、遺伝的な違いについての報告もあるようだ。ケープタウン大学の分子生物学者、Malcolm Collinsらの研究チームは、耐久性とアンジオテンシン変換酵素(ACE)の遺伝子変異に関連があることを報告している。また、ACEと共に働く、ブラジキニンの受容体やNO合成酵素3など血流に働く遺伝子の遺伝子多型に違いがありそうだということで研究が進行中のようである。
スポーツ生理学者のTim Noakesは、耐久競技のアスリートは、普通の人よりも節約しながら、しかも、あまり激しい活動だと感じることなく酸素消費をしていることを示し、「普通なら、体を酷使しすぎて危険な状態になれば、自ずと止めろ!という指令が脳から送られるものだが、耐久競技のアスリートたちでは、このリミッターの設定が異なっている」と考えている。
▼【Nature@News】
Take it uneasy
耐久レースに参加したいと思うことと、実際に耐久レースで良い成績を収めることは違うことである。まず、耐久レースに挑戦してみようと思うところに、すでに特殊性があるような気がしたりする。
なかなか着眼点の面白いレポートだと思ったのと、年末に行われる低俗芸能番組に文句を言いたかったのだ。
年末のテレビ番組が昔よりもつまらなくなってきたように感じる。寝ないでハイテンションになっていることを競い合っているだけの芸能人たちをみていると、正直、止めてもらいたいと個人的には思う。
もっと創作性のある娯楽番組が増えてほしいものである。