「また出てるよ~」
「もうあきあきするね。同じような報告ばかりで・・・」
「でも、何か新しいところがあるはずさ」
またか!という気持ちを抑えて、Diabetes Care11月号に報告されたその論文に目を通してみることにした。
これまでにも習慣的なコーヒー摂取が糖尿病の予防につながるという研究は数多く発表されており、たとえば2004年にフィンランドから発表された研究成績では、1日3~4杯のコーヒーを飲む人は、約3割糖尿病発症リスクが低下し、1日10杯以上飲む女性では、まったく飲まない人よりも糖尿病発症リスクは約8割低かったと報告されている。
今回のカルフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らの報告が今までのものと違うのは、耐糖能異常はあるがまだ糖尿病を発症していない被験者で確かめたことである。平均追跡期間は8年であった。
まだ糖尿病ではない50歳以上の被験者910名(平均年齢66歳、男性44%)について前向きな調査により検討した結果、過去または現在もコーヒーをよく飲む人は、まったくコーヒーを飲まない人よりも糖尿病になるリスクが少ないことがわかったそうである。
現在コーヒーを飲んでいる人だけでなく、過去にコーヒーをよく飲んでいた人でも差が出た上に、全被験者の3分の1では試験開始時点ですでに耐糖能異常があったことから、糖尿病発症リスクが高い人に対してもコーヒーが予防効果を持つものと思われた。
なお、今回の研究者らは、1日に1~2杯のアルコールを摂取していた被験者は、飲酒量がそれより低いか高い被験者よりも糖尿病発症のリスクが低かったことも指摘している。
▼【Medscape】Coffee May Protect Against Diabetes (1)
▼【Medscape】Coffee Consumption May Reduce Risk for Type 2 Diabetes(2)
▼【PMID: 17065672 】Diabetes Care. 2006;29:2385-2390.
Does coffee consumption reduce the risk of type 2 diabetes in individuals with impaired glucose?
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まあ、確かに新しい部分はあるけれど、肝心の何が予防効果に役立ったかについては、相変わらずわからずじまいである。著者らはカフェイン以外の作用が関係していると考えているようで、次は、コーヒーの何が理由で糖尿病発症リスクが低下するかを調べたいとしている。
これまでにもコーヒーの話題を取り上げていた関係で拾ってみた話題だが、知りたい肝心のことが欠けているお話であった。
関連報告 ⇒サイト内検索
▼ カフェイン抜きコーヒーの効能??? [Arch Intern Med]
▼ コーヒーは眠りを妨げるのか? [Neuropsychopharmacology]
▼ コーヒーを飲んでいい人悪い人 [nature / JAMA]
▼ コーヒーの効能はカフェインにあらず[Diabetes Care]
▼ 高所登山や運動時のコーヒーは心臓に悪い?[J Am Coll Cardiol]