「どうせ、男なんて若い娘が好きなんだから・・・」
「そんなことないよ・・・、少なくともチンパンジーではね」
人間の世界では、女性が”若い”というだけで魅力的に思われる場合があるけれど、どうやらチンパンジーの世界では、”姉さん女房”が人気らしい。
ボストン大学のMartin Mullerらは、ウガンダの「Kibale」国定公園に住むチンパンジーのコミュニティーを観察した結果、若い娘よりも年上のチンパンジー方がより多くのオス達と発情期に「交わっている」ことを見出した。また、オス同士の争いでも、より年上のメスを巡る争いが高確率で起きていた。
つまり、「つがい」の女性を選択するにあたってチンパンジーの世界では若い娘よりも年配女性の優先順位が高いのだった。今回の結果について、研究者らは次のように考えているようだ。
ヒトでは男性が若い女性を「つがいの相手」として好むのは、人間が長期的に連れ添う協力関係を作り出す傾向を持ち、人間の女性の生殖能力が閉経に影響されるため、年齢制限が存在するのかもしれない。これに対し、チンパンジーでは長期的な「つがい関係」を結ばず、一見、閉経が存在しないようにも見える。そのため、チンパンジーのオスたちは若いメスに優先的な選択を持たないのだろう。
これらのデータは、人間とチンパンジーの男性の仲間選択のパターンを区別するものであり、この特性は人間とチンパンジーの血統が分岐したあとに発生した進化的な特性かもしれない。
▼【EurkAlert】Male chimpanzees prefer mating with old females
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2006-11/cp-mcp111606.php
▼【Current Biology】Male Chimpanzees Prefer Mating with Old Females
http://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(06)02267-6
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女性の生殖能力うんぬんという考察や、「若い女性を好む男性」が人間の特徴のように語られるところに、ちょっと違和感を感じるが、チンパンジーは年上女性を好むという”発見”に思わず反応してしまった。
近頃、人間の世界でも年上女性と若い男性のペアが増えている。
著者らの立場に立てば、これはどうなるのだろうか?
10歳年上の女性と結婚したある友人の顔を思い浮かぶのだった。