あ~、やっぱりか!!
日頃のデートで薄々感づいていたことだが、いざ婚約指輪を彼女にはめようとしたとき、[Br J Sports Med]の最新報告を読んでいた彼は、自分の希望がかなわないかもしれないと覚悟を決めた。彼は運動神経のよい子供がほしかったけど、それがもしかしたら難しいかもしれないと悟ったのだった。
運動音痴だと言っていた彼女の薬指は、本当に短かったのだ。
英ロンドン大学キングズ・カレッジのPaul SNらが英国のスポーツ医学誌(Br J Sports Med)に、「人差し指よりも薬指が長い女性はスポーツに優れている」という説が正しかったことを報告している。
これまでにも、男性で指の長さの比率が生殖能力や性的指向、運動能力などと関連することが報告されていたが、女性での報告は少なく、はっきりとしたことはわかっていなかった。
今回、彼らは、関節炎の遺伝研究を目的に保持していた双子の指のX線写真記録を掘り起こし、指の長さと12種目のスポーツ競技の実績の関係を調べたそうだ。その結果、人差し指よりも薬指の長い女性ほど、ランニングやサッカー、テニスなどの実績が良いことが明らかになった。こうしたスポーツでの実績と指の長さの関係はほかの競技でもおなじような結果であった。
また、一卵性双生児と二卵性双生児を比較した結果、一卵性双生児で指の長さが類似しており、環境要因よりも遺伝要因が指の長さに関わると考えられた。
研究グループである遺伝疫学講座の教授Spector博士は「手指に限らず、体のほかの部分に現れる特徴が、個性や競争力、遺伝的な何かを示す可能性がある」と語っている。
▼【Health Day】Fingers May Point to Sports Prowess <リンク切れ>
▼【PMID: 17008344 】Br J Sports Med. 2006 Sep 28; [Epub ahead of print]
The Big Finger – The second to fourth digit ratio (2d:4d) is a predictor of sporting ability in females.
▼【PMID: 16611491】Twin Res Hum Genet. 2006 Apr;9(2):215-9.
Heritability of the second to fourth digit ratio (2d:4d): A twin study.
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以前にも指の長さでわかる空間把握力というエントリーで男女間の差が指の長さに現れているという話を取り上げた。
また、彼女が旦那の短足を心配するわけでも、体の特徴が疾患に影響することを取り上げた。
このほかにも、指の長さと疾患の関係や足の長さと疾病の関係を調べた研究を時々見かける。最初のころ、うそだ~!と思っていたけれど、体の特徴が個人の能力や疾病リスクを現すことは十分に考えられることであり、面白い。
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多くの論文では、指の長さは胎内で浴びたテストステロンの暴露量の影響を受けていると考察されているが、今回の二つ目の論文(Twin Res Hum Genet)では、一卵性と二卵性で指の長さパターンに違いを認め、仮説とは矛盾する結果になっている。同じだけのテストステロンに暴露されたとしても、その感受性が違うことも考えられるわけで、今後の研究でさまざまなことがわかってくると思うと興味は尽きない。
体の特徴が個人の能力や疾病リスクを現すのだとしたら、人相学も、もっと医学的な観点から見直されてもいいかもしれない。