[Diabetes Care] 彼女が短足の旦那を心配するわけ

本当かな~?
そりゃ分からないよ。だけど、Johns Hopkins大学のAsao Kらが言うには足の長い人よりも足の短い人の方が2型糖尿病になりやすいんだって!

極端に脚の短い旦那の将来を心配する彼女は、なにもビール腹になって太っているから旦那の糖尿病を心配し始めたわけではなく、もしかしたら彼女はDiabetes Careの7月号に掲載された報告をみたのかもしれない。

その報告によると、米国健康調査Ⅲ(1988-1994年)のデータから40歳以上75歳未満の成人7,424名を対象にして身長や脚の長さ、身長と脚の長さの比、インスリン抵抗性や血糖値を調べた結果、身長、脚の長さ、脚の長さ/身長が標準偏差内の変動よりも低いひとは、それぞれ標準偏差内におさまっている人よりも1.10(95%信頼区間、0.94-0.29)、1.17(0.98-1.39)、1.19(1.02-1.39)倍、2型糖尿病の罹患率が高いことがわかったそうだ。

▼【PMID: 16801590】Diabetes Care. 2006 Jul;29(7):1632-7.
Short stature and the risk of adiposity, insulin resistance, and type 2 diabetes in middle age: the Third National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES III), 1988-1994.

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脚の長さと糖尿病を関連付けるなんて面白い発想をするものだと思うが、実はそんなにとっぴなことでもない。1993年にBakerらがLancetに心疾患や高血圧、糖尿病など慢性疾患の進展がお母さんのお腹の中にいたときの栄養状態と関係しているんじゃないかという仮説を立てている。

▼【PMID: 8096277】Lancet. 1993 Apr 10;341(8850):938-41.Fetal nutrition and cardiovascular disease in adult life.

その後も、低出生体重時は将来、「○○の疾患にかかるリスクが高い」というような報告が山ほど出ていることからも、この仮説のインパクトがうかがえる。

英国のWomen’s Heart and Health Studyでは足の長さと太っているかどうか(BMI)やインスリン抵抗性(HOMA-IR)が逆相関することを報告している。

▼【PMID: 12189439】Diabetologia. 2002 Aug;45(8):1097-106. The association between components of adult height and Type II diabetes and insulin resistance: British Women’s Heart and Health Study.

論文の考察にはいろいろな成績のことが書かれていてなかなか興味深い。