[Arch Intern Med] カフェイン抜きコーヒーの効能???

2型糖尿病を防ぐのにコーヒーが有効だということは数々報告されているが、コーヒーのうち、何がその効果にかかわっているのか、はっきりしていなかった。今回の報告は閉経後の女性を対象に10年以上にわたって前向き調査し、カフェイン以外の物質が重要である可能性を示したものである。

コーヒーが○○の予防になるという話題にちょっと食傷気味だったうえに、疫学研究の常として、偶然の結果であることが否定できないため記事にしようか止めようか迷ったのだが、CBS NewsやMedscapeにも取り上げられていたので確認しておこうと思う。

ミネソタ大学のPereira MAらは、Iowa Women’s Health Study (1986-1997) に参加し、糖尿病や心血管疾患の既往がない閉経後の女性28,812人を対象に問診表を郵送し、前向きに糖尿病発症とコーヒー摂取について調査した。

追跡期間11年間で1412名に糖尿病を確認され、解析の結果、コーヒーをまったく飲まない女性に比較して、1日6杯以上コーヒーを飲む女性では2型糖尿病のリスクが低い(相対リスク;0.78、95%信頼区間;0.61-1.01、傾向検定p=0.06)ことがわかった。。

そして、通常のコーヒー(相対リスク0.79;95%信頼区間;0.59-1.05、傾向検定p=0.90)より、カフェイン抜きのコーヒー(相対リスク0.67;95%信頼区間;0.42-1.08、傾向検定p=0.006)のほうが2型糖尿病リスク軽減への寄与が大きかった。また、こうしたリスク軽減効果は、マグネシウム、フィチン酸塩の摂取では説明できず、ほかの供給源も含めて考えてもカフェイン摂取と糖尿病のリスクの間に関連を認めなかったそうである。

【CBS News VIEDEO】Real Player ;Coffee May Cut Diabetes Risk

【UMNNews】Coffee may reduce risk of type 2 diabetes
【MedScape】Coffee May Decrease Risk of Developing Type 2 Diabetes in Women
【PMID: 16801515 】Arch Intern Med. 2006 Jun 26;166(12):1311-6.
Coffee consumption and risk of type 2 diabetes mellitus: an 11-year prospective study of 28 812 postmenopausal women.

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著者らの主張によれば、「とりわけカフェイン抜きコーヒーの摂取は、閉経後女性コホートにおける2型糖尿病のリスクと逆相関した」ということで、確かに間違ってはいないのだが、そこまで言い切れるほどでもないだろうと思えてしまう。

個人的には、コーヒーが2型糖尿病のリスクを減らすという観察結果に異論はないし、カフェインの影響はリスク軽減において微々たるものだろうと考えている。しかし、どうも著者らの主張は弱いように思えてしまい、そんな疫学研究はもうよいから、もっとコーヒーに含まれる何がよい作用をしているかについて追求する基礎実験がほしいと思ってしまう。

単純に「コーヒーに含まれる成分の抗酸化作用が・・・・・」というような表面的な考察でなく、本当にコーヒーの何が重要なのかを教えてほしいものである。