[J Am Coll Cardiol] 高所登山や運動時のコーヒーは心臓に悪い?

コーヒーが糖尿病や肝臓疾患に良いという話がたくさん出てくる一方、心臓血管への安全性を懸念する声もある。Zurich大学のMehdi Namdar博士(ドイツ)らは、日常的にコーヒーを飲んでいる健常ボランティア18名を高度4500メートル級の山に登ったときと同じ低酸素状態(12.5%の酸素混合物を吸入)において、カップ2杯のコーヒー(カフェイン200mg)を摂取したあと運動負荷をかけて心筋血流を測定した。すると、カフェインによって自転車運動負荷時の心筋血流が著明に低下したそうだ。

心筋血流の測定は、カフェイン経口摂取50分後にPETを用いてラベル標識した酸素を測定することで行った。

安静時の心筋血流は低酸素状態に伴い増えた(1.71±0.41mL/min/g vs. 2.22±0.49mL/min/g)が、カフェイン摂取の影響は安静時に見られなかった。一方、低酸素の状態を運動誘発した場合、カフェイン摂取によって心筋の血流の低下を認め、正常気圧で22%(2.51±0.58mL/min/g vs. 2.15±0.47mL/min/g、p

Kaufmann博士はカフェインの作用について「カフェインが血管壁のある種のレセプターをブロックし、正常なアデノシン伝達シグナルを妨げているのかもしれない」と話し、今回の結果が、健康な人において臨床的に重要な何かを起こすことはないだろうが、動脈疾患を持った人が運動する前にコーヒーを飲むことの安全性に疑問を提起するものかもしれないと指摘する。

【Doctor’s Guide】Caffeine Limits Blood Flow to Heart Muscle During Exercise
rit011206.php”>【EurekAlert】Researchers identify target for therapeutic drugs to fight
most common adult brain cancer
【PMID: 16412869】J Am Coll Cardiol. 2006 Jan 17;47(2):405-10. 
Caffeine decreases exercise-induced myocardial flow reserve.

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コーヒーが心臓に悪いかもしれないという考え方には、個人的には賛成できないのだけれど、今回の結果をみていると大きなリスクがあるかのように見えてくる。とはいえ、動脈疾患を持っている人が高度4500メートル級の山に登ったりすることはまずないだろうし、運動1時間前にコーヒーを飲むようなこともそんなにないだろう。

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本論とは関係ないが、ドクターズガイドの記事中に「カフェインは興奮剤だけど、これらの結果はカフェインが運動競技の性能を押し上げないかもしれないことを示します」という一文を見かけた。

カフェインの興奮作用により運動競技で好成績が残せるなんて発想は、僕が思いもかけなかった発想だっただけに、物事を見る視点というのは「本当に多様だ」と妙な感心をしてしまった。