骨粗しょう症治療薬であるビスホスホネートの使用が食道がんの発症に関連しているとの疑いがFDAから発表されたが、その後、英国で行われた大規模マッチドコホート研究によって、ビスホスホネートによる食道がんの発症リスク上昇は認められないことが示された。
英国のChris R. Cardwellらは、英国医療データベース(UK General Practice Research Database)を用い、1996年1月~2006年12月にビスホスホネートの処方を受け、過去3年にがんと診断されていない40歳以下の41,862名(年齢中央値70歳、女性81%)について、年齢・性別をマッチさせた対照群を設けてビスホスホネート薬使用と食道がん発症のリスクについて調べた。
追跡期間は中央値でビスホスホネート群4.5年、コントロール群4.4年。胃・食道がんの発症頻度は、ビスホスホネート群116名(食道がん79名)、コントロール群115名(同72名)であった。胃・食道がんの発症率は1000人当たり0.7人であり、両群間に差を認めなかった。
⇒原著を見る
PMID:20699457
JAMA. 2010 Aug 11;304(6):657-63.
Exposure to oral bisphosphonates and risk of esophageal cancer.
なお、薬事日報によると、今年6月の添付文書改訂によって、BP製剤の投与開始前に済ませるよう求めていた抜歯等の侵襲的な歯科処置について、事前に対応する時間的余裕がないと主治医が判断した場合には、「投与開始と歯科処置が平行する場合もありうる」と解説している。
http://www.pheedo.jp/click.phdo?i=14a65ac8bb0ae6ca5a8f26b88517ce6a
また、英国医薬品局の諮問委員会は、ビスホスホネート薬の非定型ストレス骨折リスクのレビューを開始している。
⇒リンク
BMJの記事もご覧ください。