フランスの研究者らが65歳超の1433名(平均年齢72.5歳)を対象に認知症発症率に寄与するリスク因子について7年間の前向きコホート研究を行った。
主要アウトカムは、標準化された神経学的検査によるMCI,認知症診断を用い、Cox modelによる認知症寄与修正可能リスク要素を評価した。
その結果、結晶化インテリジェンス(Crystallized intelligence:知識や経験、技術を使う能力)を高め(人口寄与率18.11%)、野菜や果物の摂取量を増やし(人口寄与率10.31%)、 うつ病や糖尿病を改善すること(それぞれ、10.31%、4.88%)が認知症発症率の低下に大きく影響することがわかった。また、apolipoprotein Eのε4 alleleは人口寄与率7.11%であった。
ただし、本結果は、コホート研究の結果であり、因果関係は必ずしも明らかにされたわけでないことに注意を要する。とはいえ、気配り可能な生活習慣には、気を配るに越したことはないだろう。
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PMID:20688841
BMJ. 2010 Aug 5;341:c3885. doi: 10.1136/bmj.c3885.
Designing prevention programmes to reduce incidence of dementia: prospective cohort study of modifiable risk factors.
ところで、Crystallized intelligenceの日本語訳は結晶化インテリジェンスで本当にいいのだろうか?
インテリジェンスには 新しい課題に対する論理的思考と問題解決能力を現す”fluid intelligence”(Gf)と過去の経験や知識、技術を用いる能力を現す”crystallized intelligence”(Gc)の2つに分ける呼び方があるようですが、最近になって勉強を始めたこの領域、専門用語に戸惑うこともあり、正直わかっていない。