それを聞くまでは考えもしない疑問もあるものだ。
なぜ、鼻の穴が二つあるかなんてこれまで考えたこともなかったが、米科学アカデミー紀要電子版に掲載された日本人研究者の成績が、鼻の穴の数について考えるきっかけを与えてくれた。
どうして鼻の穴はひとつではないのだろうか?
目や二つあるのは、ものを立体的に視認するために必要だからである。
耳が二つあるのは、物音がどちらから聞こえてくるかを察知するためである。
だとすれば、鼻だって穴が二つあるには理由があるはずである。
臭覚情報は、動物にとって「食べ物の腐敗」や「天敵の接近」など危険を知る上で重要な役割をしていたはずなのだから。。。
においは、匂い分子受容体で受け取られた後、嗅覚情報処理の一次中枢である嗅球へと送られる。その後、嗅球内の局所回路で処理された匂い情報は、大脳にある嗅皮質へと送られる。これまでに、脳には左右それぞれににおいを把握する臭皮質が存在することがわかっていたものの、その役割ははっきりわかっていなかった。
今回、東京大学のKikuta S氏らは、ラットの左右の鼻の間にプレートをつけて、右から左から真ん中からと、角度を変えて様々な匂いを嗅がせてみることにした。興奮性の刺激や抑制性の刺激がどのように伝わるか検討した結果、大脳の臭覚皮質がにおいの強さの濃度差を比較することで、匂いの方向を見分けていることが推察された。
⇒原著
PMID: 20616091
Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Jul 6;107(27):12363-8. Epub 2010 Jun 28.
From the Cover: Neurons in the anterior olfactory nucleus pars externa detect right or left localization of odor sources.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20616091