「チョコレートを毎日食べよう!」健康に気を配っているにも関わらず、タバコを止めようとしない彼が、そう思ったのは、「Heart」2006年1月号に掲載予定の論文を知ったからなのかもしれない。以前にもチョコレートを欲しがる患者の話を取り上げたが、ブラックチョコレートが健康に良いという話は多い。
チューリッヒ(スイス)にある大学病院に勤務するHermann F博士らは、喫煙男性20名に約1.4オンス(約40g)のブラックチョコレートもしくはホワイトチョコレートを摂取させ、内皮細胞機能とシェアストレスによる血小板凝集を調べた。その結果、ブラックチョコレートを摂取後、動脈内皮細胞の機能は8時間にわたって改善され、血小板凝集能はブラックチョコレート摂取で低下した。こういった効果はホワイトチョコレートでは認められなかった。
内皮細胞の機能が乱れるということは、心臓疾患のリスクを高めることにつながることから、研究者らは、毎日ちょっとだけチョコレートを食べて幸せな気分を味わえば、心血管系の健康を向上させることにつながるかもしれないと考えている。
ただし、大量のチョコレート摂取は、血糖値や体脂肪、体重増につながるので逆効果である点にも注意が必要である。
▼【Medscape】Dark Chocolate May Improve Endothelial Function in Male Smokers
▼【PubMed】Heart. 2006 Jan;92(1):119-20.
Dark chocolate improves endothelial and platelet function.
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研究者らは、少量のチョコレートでこのような効果を認めた理由として抗酸化物の含有量がブラックチョコレートには多いこと、ダークチョコレートにはフラボノイドが大量に含まれており、フラボノイドが血小板活性化を減弱させていること、フラボノイドは5-リポキシゲナーゼ活性にも影響を与えているかもしれないことなどを挙げている。
たしかに、抗酸化物が理由であるかもしれないが、心疾患のリスク軽減と抗酸化物を何でもかんでも結び付けたがる風潮にはちょっと嫌気がさしてくる。しかし、そう思いつつも、「フラボノイドは5-リポキシゲナーゼ活性にも影響を与える」という言葉が妙に興味をひいた。
PubMed検索「arteriosclerosis and 5-lipoxygenase」
ロイコトリエンと動脈硬化(最近のレビュー)は、今、注目されているところであり、もっと知りたいと思いつつ放置している自分を戒めるのだった。