チューイングガムは”放屁”を促す;大腸手術患者のケース

「屁が出た!」と喜ぶ患者とその家族達。
大腸手術をした後に退院を遅らせる原因になるもののひとつに腸機能の回復が挙げられる。そこで、腸機能の回復具合を屁が出るかどうかで判断するわけだが、大腸手術の後に早く”屁をこく”ためにはチューインガムが有効らしい。この報告は、Texas Southwestern医科大学センターののH Papaconstantinou博士らが米国外科学会で発表したものだ。

博士らは大腸切除術を実施した患者88名(開腹37名、腹腔鏡下手術51名)を対象に術後1日4回、清澄液を飲むか、ガムを15分間噛むかの2グループに無作為に分け、術後の腸機能と入院期間を調べた。その結果、腹腔鏡下手術後に清澄液を飲んだ患者が最初に排便できるまでに平均3.3日かかったのに対して、ガムを噛んだ患者は2.6日と、約1日腸機能の回復が早かったのだ。また、入院期間は清澄液を飲んだ患者で5.3日、ガムを噛んだ患者で4日だった。

本当に放屁が早くなったかどうかは定かでないが、ドクターズガイドの記事によると、腹腔鏡下大腸切除術後にチューイングガムを噛むと退院は1日早まり、術後の腸閉塞を防ぐことができるという結果であった。

【Doctor’s Guide】Gum Chewing Eases Postoperative Ileus, Speeds Hospital Discharge: Presented at ACS

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本記事では、腹腔鏡下手術から退院までの期間がちょっと長いような気もするけど、こんなものなのだろうか?また、開腹手術に関する記述がなく、「腹腔鏡下手術では・・・」と書かれているところも少し気にかかる。ちょうど、この記事を取り上げようと思っていたら、Biotodayにも同じ話題が取り上げられていて、そこでは別の情報源からだろうとおもうのだが、患者102人を対象とした試験と書かれていた。

所詮、学会なのでいろいろと注文すべき箇所や、情報の信憑性に疑問もあるだろうけれど、「何かを噛む」という生理的な行為が術後の腸機能を早めるというのは、十分に考えられることだと思う。ガムを噛むことで脳が刺激され、腸管に対する何らかの働きかけがあったとしても不思議でないと思う。

硬いものを噛んで食べる機会が減った現代人の食生活は、もしかしたら腸疾患が増えている理由のひとつじゃないだろうか?噛むことと消化管への機能変化を突き詰めて研究していけば、もしかしたら何か新しい知見が得られるんじゃないだろうか?

そんなことを考えた。