ココア(カカオの豆)が下痢に良いといわれていたものの、その根拠はなんだろう?という疑問には未だ回答が出ていなかった。この「カカオが下痢によい」という俗説に科学的説明を付け加える研究が「The Journal of Nutrition」の10月号に報告された。その論文を紹介したWebMDのタイトルは「ブラックチョコは下痢を緩和する」であった。
コレラ菌や大腸菌などによる下痢の場合、体液や塩分が腸から過剰に喪失することで電解質バランスを崩し、危険な状態を招く可能性がある。
オークランド子供病院のSchuier Mらは、古代南米やヨーロッパで伝えられていたカカオが下痢に良いという民間療法をもとに、カカオに含まれているポリフェノールが腸のCl-分泌を抑制すると考え、この仮説を検証してみた。
酵素反応速度論に基づく解析の結果、ココアフラボイドは小腸の体液分泌を制御するたんぱく質と結合することで、腸におけるcAMP刺激誘発Cl-イオン輸送を阻害する可能性があることがわかった。
▼【WebMD】Dark Chocolate May Ease Diarrhea
▼【PubMed】J Nutr. 2005 Oct;135(10):2320-2325.Cocoa-Related Flavonoids Inhibit CFTR-Mediated Chloride Transport across T84 Human Colon Epithelia.
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以前、どこかの先生が救急医学会で発表していた成績を思い出す。確か、「重篤な救急疾患で手の施しようがない患者が、チョコレートを欲しがったのでチョコレートを与えたところ、たちまち患者の健康状態が良くなってきた」という内容だったように記憶している。
古くからある食べ物を見直すことで、新たな発見はまだまだありそうだ。
原文にはブラックチョコが下痢を緩和するとは書かれていないにもかかわらず、こういったタイトルをつけるあたりがWebMDなど一般消費者向け医療情報サイトによる二次情報の良さであり、危うさなのだろう。タイトルのつけ方を学ぶのに英語のニュースサイトのセンスは役に立つ。ココアよりもチョコレートの方が消費者受けするということなのだろうか?。
チョコレート食べたいな!ふと、そんなことを考えた。