深く顔に刻まれた溝、しわ。
彼の顔に刻まれた皺を数える医師Patel氏は、喫煙者では皮膚の老化が早いことをヒントに、喫煙者男性に多いといわれる慢性閉塞性疾患(COPD)の患者では、皮膚の老化と共通する何らかの感受性が存在するかもしれないと考えた。
英王立Devon & Exeter病院のBipen Patel博士らは、喫煙もしくは喫煙の既往がある中高年の被験者149名(うちCOPD患者68名:45.6%)を対象に顔の皺の数(ダニエルスコア)を調査した。
被験者の83%は皺がないもしくは少ししかないと判断され、17%が皺が多いと判断され、皺が多い人ほど肺機能(FEV1)が有意に低く、顔に皺が多く刻まれている人は、皺のないひとよりもCOPDのリスクが5倍、さらに重度の肺気腫であるリスクが3倍高かった。
「そんなもの、顔の皺を見なくたって簡単な呼吸検査をすればいいじゃないか!」との反論もあるが、「患者教育には良いかもしれない」とのコメントも出されているようだ。
著者らは、顔の皺は、肺や皮膚の弾性組織(コラーゲン、エラスチンなど)が壊れることを反映している可能性もあるが、詳細は不明であるとコメントしており、遺伝的な背景が存在すると考えている模様である。
▼【Health Day】Extra Wrinkles a Bad Sign for Smokers
They may point to a heightened risk for lung disease, study suggests
▼【BBC】Wrinkly smokers ‘at greater risk’
▼【PubMed】Thorax. 2006 Jul;61(7):568-571. Epub 2006 Jun 14.
Smoking related COPD and facial wrinkling: is there a common susceptibility?
確かに、顔の皺を見なくたって呼吸機能検査で簡単にわかることだろうが、目で見て分かる指標を使えば、禁煙指導の説得力も増す。
また、タバコを吸うことで顔の皺が増えるだけでなく、1本1本の皺の溝が深くなることを美容を気にする若い女性にもっと知らせた方がいいだろう。化粧品にお金をかけ、肌のつやを気にするくせにタバコを吸う人々は、タバコによる美容被害についてもっと知った方がいいだろう。
肺組織の繊維喪失を表皮の皺で評価でき、そこに遺伝的な要因が絡んでいるんだとしたら、あながち「人相学」など占い師の経験も医療に役立つヒントを与えてくれるのかもしれない。
へん!なんだそんな報告と笑い飛ばすのは簡単だが、なかなか面白い報告だと感じた。