[Diabetes Care] コーヒー談義メモ(カフェインとインスリン抵抗性ほか)

■カフェインはインスリン抵抗性を低下

昨年はコーヒーが糖尿病に良いという研究結果が話題を集めていたが、コーヒーの中で何が2型糖尿病の発症リスク低下につながるのかは必ずしも明らかにされていなかった。可能性としてカフェインの効果が考察される一方、カフェイン以外の成分が影響しているという報告もあった。そんな中、「Diabetes Care」3月号にカフェインはインスリン抵抗性を低下させるという結果が報告された。

研究に当たった博士らは、痩せた男性8名と肥満の2型糖尿病患者7名、肥満だが2型糖尿病でない被験者8名を対象にカフェイン5mg/kg bodyもしくはプラセボを摂取させ、MRIで体組成を評価した。その結果、慢性的に運動しているか、していないかにかかわらず、カフェインはインスリン抵抗性を低下させたということだ。

【NutraIngredients】Caffeine may reduce insulin sensitivity

【PMID: 15735189】Diabetes Care. 2005 Mar;28(3):566-572. 
Caffeine Ingestion Is Associated With Reductions in Glucose Uptake Independent of Obesity and Type 2 Diabetes Before and After Exercise Training.

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以上は、2型糖尿病に良いと思っていたカフェインが、良い面ばかりではないという話。しばしば、コーヒー = カフェインの話としてニュース記事で紹介されるが、コーヒーにはカフェイン以外にもさまざまな成分が含まれている。コーヒーが糖尿病に良いとするならカフェイン以外の作用によるだろうと思われる。

一方、カフェインが心臓に悪いという話に対しては「American Journal of Clinical Nutrition」3月号に出された報告が否定的な見解を提示している。

■カフェインは心疾患を誘発しない

オフフツ大学(デンマーク)のLars Frostらは、47949名の被験者(平均年齢56歳)を対象に前向き試験を実施し、カフェイン消費量別に5段階に分けて心房細動や心房粗動の発症リスクを比較したところ、最も消費量の少ないグループに比べてもっとも消費量の多いグループの発症リスクは0.91倍(95%信頼区間0.70-1.19)だった。つまり、日々のカフェイン消費量と心房細動もしくは心房粗動のリスクに関連性は認めないというのだ。

【MedScape】Caffeine Not Associated With Increased Risk of Atrial Fibrillation<要無料登録>

【PMID: 15755825】Am J Clin Nutr. 2005 Mar;81(3):578-82. 
Caffeine and risk of atrial fibrillation or flutter: the Danish Diet, Cancer, and Health Study.

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コーヒーで心疾患のリスクが高まるという主張のほうが心配しすぎのように感じるのだが、毎日コーヒー5杯を飲み続けると収縮期血圧が2.4mmHg増大するという話もあるそうなので、何事もほどほどにしておくほうが良いだろう。

ちょっと前になってしまうが、肝がんとコーヒーに関する話題が毎日新聞で取り上げられていたのでメモしておこう。

▼【毎日新聞】暮らしWORLD:コーヒーのチカラ 肝がんとの関係が今ホット

【映画】コーヒー&シガレッツ

。以前にタバコと癌とコーヒーと!という記事やタバコをすいながらコーヒーを飲まないほうが良いわけという記事を書いたことがある。この映画、見てみようかなと考えた。