[Nature] 音を味見できる女

共感覚(synesthesia、ギリシア語で「共」+「感覚」の意味)とよばれる不思議な感覚があるらしい。「Nature」3月3日号のBrief Communicationに『E・S』さんという女性の話がでている。彼女は16歳の時、自分がほかの人と違うことに気がついた。音を聞いたときに色を見たり甘く感じたりするため、彼女はその特殊な能力を生かして音階を判別するのに役立てている。

E.S.さんはプロの音楽家であり、たとえば短6度の和音はクリームの味がするのに、長6度の和音だと低脂肪クリームの味がするというのだ。

【HOTWIERE JAPAN】VRもオーラも「共感覚」の一種?

【Nature】Nature 434, 38 (03 March 2005); Synaesthesia: When coloured sounds taste sweet
【News@Nature】Synaesthete makes sweet music


 

共感覚のことをはじめて知ったとき、面白いなと思った。匂いや味を感じるテレビ放送というのも、実現可能になる日がくるんじゃないかと夢物語を思い描いたからだ。

実はこのような共感覚を持つ人の存在は既に何例も知られているようだ。アマゾンの書評を見ていたら、自分も共感覚を持っているという人がいた。へえ~!

ほかの共感覚の事例は以下の本に詳しい。
ねこは青、子ねこは黄緑―共感覚者が自ら語る不思議な世界
パトリシア・リン ダフィー Patricia Lynne Duffy 石田 理恵

早川書房 2002-07

なるほど、生まれながらにして自分が感じる感覚というのは他の人と比較のしようがないものだから、何かのきっかけがないと自分が他人と違ってものを感じているというのはなかなか分からない。

実は僕自身も、自分では当たり前だと思っていたことが実は当たり前じゃなかった経験を持っている。天才バカボンのパパと僕には同じ特徴があるのだ。「のどちんこ」がYの字型になっているのは普通だと思っていたけど、珍しいようだ。


それはさておき・・・・

HotWiredのニュース記事によると自称霊能者がオーラをみるというのも、この共感覚だと考える研究者もいるそうだ。また、「共感覚の起源は、新生児の脳に見られるニューロンの結合が、正常な脳のように退化せずに残ったものとされている」という見解も紹介されていた。

「脳が目、耳、鼻、口から入ってくる情報をそれぞれ、色彩、音、匂い、味の情報として区別し、別の領域で処理していること。この当たり前に思っていた現象を当たり前に出来ることの不思議に、生命の神秘を感じた。


今年もまた、新人研修で脳神経系の講義をしなければいけない。脳神経系は僕の専門分野でないのだが、講義担当に当たってしまったからには仕方がない。受講生の中に「共感覚」を持つ者はいないだろうか?

脳に関する面白い話題でも探してみよう!
そんなことを考えた。

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