[Nat Med] がん化学療法から生殖能力を守る

 あなた癌ですよ。
 
   ガガーーン、ショック!
   
 治療法はありますよ。
 
   ほっ・・・
   
 ただし、子どもが生めない身体になるかもしれません。
 
   エエエーーー、さらにショック!!
   
 ただでさえ、癌と言われてショックを受けているところに、治療によって子どもが生めなくなると聞けば、その衝撃はいかばかりのものであろうか。
 
 生殖細胞は遺伝毒性物質に対して感受性があり、がんの化学療法における卵巣機能不全や不妊は気にかかる副作用の一つである。ローマ大学のトル・ヴェルガータ校(イタリア)のS Gonfloniらは、一般的な化学療法薬であるシスプラチンを投与した雌マウスの生殖能力が、イマチニブ(商品名グリベック)によって保護されることを報告した。

 
 ヒト細胞株において、シスプラチンにより卵母細胞でTAp63の蓄積を促進して細胞死を引き起こしたが、c-AbIキナーゼ阻害剤であるイマチニブによって、シスプラチンの影響を打ち消すことができた。こうした結果は、がん治療の有害作用から生殖細胞を守る新しい方法の開発につながる成果だと考えられる。

PMID:19783996
Nat Med. 2009 Oct;15(10):1179-85. Epub 2009 Sep 27.
Inhibition of the c-Abl-TAp63 pathway protects mouse oocytes from chemotherapy-induced death.
PMID:19812566
Nat Med. 2009 Oct;15(10):1124-5.
Preserving fertility during cancer treatment.