[Nature Neuroscience] β遮断薬は恐怖への反応を減らす

キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!

あの日の恐怖体験が、ことあるごとに脳裏をよぎり「ドキ!”」とする。
そして、よみがえる恐怖の記憶を打ち消すのに躍起にならねばならない。こんなフォビア(恐怖症)に打ち勝つ手がかりが、Nature Neuroscience誌に報告された。

アムステルダム大学のMerel Kindtらが報告した成績によれば、高血圧や不整脈の治療に使われる経口のβ遮断薬が恐怖記憶を消してくれるらしい。研究者らは、ボランティア60名を対象として、電気ショックに引き続きクモの絵をみせて人為的な恐怖記憶を形成させた。その後、経口β遮断剤(プロプラノロール)を投与する群と、プラセボ群の2群にわけ、恐怖記憶を瞬きの強さで評価した。

その結果、2回目にクモの絵を見せられたときの反応は、プラセボ群よりもβ遮断薬投与群で明らかに少ないことが示された。

▼Nature Neuroscience Published online: 15 February 2009
Beyond extinction: erasing human fear responses and preventing the return of fear
▼Science News
Beta-blockers erase emotion of fearful memories
▼BBC News 16 February 2009
Heart pill to banish bad memories

ニュース記事では、「恐怖の記憶が減退した」という表現が使われ、論文の考察中にもβ遮断薬が脳の扁桃など情動形成に働く部位に作用することが考察されている。これらの結果は、恐怖記憶の再統合を防ぐことによって情緒的疾患患者の長期治療に新しい道筋をつけることにつながると期待されている。

恐怖記憶を植えつけられた被験者は、再びクモの写真をみたときに「ドキ!”」とするわけだが、β遮断薬の投与を受けていた被験者では、この「ドキ!”」の反応が明らかに軽減されていたわけだ。もともと交感神経の過興奮をおさえるわけだから、脳への作用と考えているあたりに少し違和感をかんじたのだが、いかがなものなのだろうか。。。