medpediaプロジェクトによる薬と健康に関する世界最大の共同オンライン百科事典が2008年末を目処に作成されつつある。7月23日、そのプレビューサイトが公開された。
このサイトmedipediaでは、疾病、診察検査、処置、処方薬、医療施設に関するコンテンツが大きく2種類の情報ソースとして提示される。ひとつは一般大衆向けのわかりいやすい言葉で書かれたフロントページであり、もう一つは医療専門家が議論する材料を提供する技術ページである。
今後、数年にわたって3,000件を超える既知の疾病、10,000を超える薬について書かれる予定で、写真や音声、ビデオなどウェブならではのコンテンツも盛り込まれ、誰もが自由に使える最新医療情報の情報源となる。
▼medpedia
www.medpedia.com
このプロジェクトには、ハーバード大学医科大学、スタンフォード大学医学部、カリフォルニア大学バークレー校の公衆衛生学校、ミシガン大学医学部など各地の公共機関が参加しており、米国内科学会やNIH、米国CDC、FDAもコンテンツ作成に協力している。
ハーバード大のDr. Anthony L. Komaroffは「科学者や研究者だけでなく一般の人々にとっても最良の情報源になるだろう」と語っており、「知識を共有し、お互いに助け合いましょう」と呼びかけている。
コンテンツ編集と作成には医師または医学博士があたり、将来的にはGoogleのような広告収入によりコンテンツの維持を図っていく予定である。
このようなコンテンツとしては、既にWebMDやMayo Clinicなどが存在しているが、ざっとプレビュー版を見たところ、medipediaは非常に整理されていて使いやすそうである。
インターネットの発達、Wkipedia(コラボレーション的に作成する百科辞典)の登場などにより、高い専門性を有する人材が自分の知識を公共の場で整理する動きが始まっている。このような情報共有の動きがさらに加速すれば、今後、ますます、すばらしい情報源が登場することになるだろう。
しかし、残念ながら、今のところ英語で書かれたすばらしい情報源はあるものの、同様な日本語の情報源は不足しているように思う。
研究者はえてして自分の興味範囲外のことに無頓着で、秘密主義の部分がある(ように感じる)。患者は、医者に文句を言うことを覚えたが、表面的な理解によりマスコミに踊らされて、専門的なことをわからず右往左往している状況があるように思う。
今、医療崩壊が取りざたされるが、こうしたことも一般消費者の医療に対する理解が進まない限り解消されないのではないかと感じることも多い。
今、日本でも一部でコラボレーションが医師限定サイトとして進んでいるが、なぜに医者限定にする必要がある?と腹立たしく感じることがある(これは不用意に患者の変な誤解を生みたくないからだろうか?)。
一般消費者であっても一歩踏み込んだ情報を知りたいと思ったとき、Medipediaのように参照できる情報源はあってもいいだろうと思う(いや、あって欲しいものだと思う)。
基礎研究者と臨床研究者、そして患者を結びつける日本語でのコラボレーションの仕組みを作りたいものだ。こうした試みに協力できる方は、ぜひ、ご一報いただきたい。