[Nat Med] グルココルチコイド受容体ノックアウトマウス

Nature Medicineの10月号にハーバード大学のX Wangら(訂正;報告者はワシントン医科大のBrewer JAら)が「COX-2を介した免疫活性化抑制にT細胞グルココルチコイド受容体が必要である」と報告した。報告によると、T細胞特異的グルココルチコイド受容体ノックアウトマウスにおいて、免疫活性化が致死的であることが分かった。致死的な免疫活性化は、COX-2の阻害により回復するがステロイド投与やサイトカイン抑制で回復しないという。

 

これらの結果は、T細胞のグルココルチコイド受容体が免疫活性化に非常に重要な役割を担っていることを示し、T細胞を介した炎症反応調節が新たな治療ターゲットになりうることを示すものであろう。

すでにグルココルチコイド(ステロイド)は、自己免疫疾患や炎症の抑制として非常に有益な薬として使用されているが、その免疫抑制のメカニズムは未だ十分に分かっているといえないのでないだろうか?最近の新薬創造にあたって、なぜ効果があるのか?どんなメカニズムなのか?っと分子標的からはじまる創薬活動が多くなっていることと思う。

「ステロイドやアスピリンのように薬として有用と認められてから、長い年月をかけて作用メカニズムの分かってくるような薬剤は、もう開発できないのだろうか?」

上記文献から、そんなかけ離れたところに思いをはせた。

さて、明日からはアレルギー学会に出席するためしばらくブログはお休みせざるを得ないかもしれない。

2007.10.16.追記

コメンテーターと報告者を取り違えていたので訂正。引用元論文を追記。

【PubMed】Nat Med. 2003 Oct;9(10):1318-22.
T-cell glucocorticoid receptor is required to suppress COX-2-mediated lethal immune activation.