Pediatrics誌10月号オンライン版に、生後1カ月までの赤ちゃんで「母乳効果」が女の子にしか現れないことが報告された。米国Brigham and Women’s病院のAnushua Sinha氏らは、同病院で生後1カ月までに風邪などの上気道感染にかかった241人と気道感染にかからなかった1205人を比較した。
▼【PubMed】Pediatrics. 2003 Oct;112(4):e303.
Reduced risk of neonatal respiratory infections among breastfed girls but not boys.
彼らの研究によると、女の子では完全母乳で育てると風邪などをひくリスクが50%、混合乳でも40%低くなるのに対し、男の子ではリスクに違いが現れなかった。男の子でどうして母乳効果が現れなかったのかは不明だという。ただし、トータルでみたときの風邪の引きやすさは男女間で差がなかったようだ。
「男の子は風邪を引きやすい」とは、よく耳にする言葉だが、これらの結果からすると、本当は嘘だということになる。しかし、母乳で育てたかどうかで分けると、よく言われる言葉「男の子は風邪を引きやすい」が本当だったと言える。なぜ、母乳効果に男女差があるかを突き詰めていくことは、風邪引き予防の新薬を作る手段になるのではなかろうか?
なお、この論文では、低収入の家庭の赤ちゃんのほうが風邪を引きやすかったことも報告されており、結局、しっかり栄養を取るかどうかが風邪の引きやすさに影響するだけなのかもしれないもと思う。どうなのだろう?