「ホクロ多いな~!」
「日焼けしすぎたら皮膚がんになるから注意だよ」
「え?本当?じゃあさ、治療のため紫外線を浴びたらどうなるの?」
「ホクロが増えるかも?」
そんな会話があったかどうかは知らないが、紫外線は皮膚がんのリスクだとよく言われる。また、皮膚への紫外線暴露は幼児期の母斑発生と関連し、色素細胞性母斑は皮膚黒色腫の最大のリスク因子だとされる。
こうした背景のもと、Saint-Antoine 病院(フランス)のEmmanuelle Matichard博士らはホクロの数と新生児時期の光線療法の関連について調べ、その結果を「Archives of Dermatology」12月号に報告した。
博士らがSaint-Antoine 病院の新生児記録をもとに高ビリルビン血症のために光線療法を受けた(8~9歳)58人を調べたところ、光線療法を受けていた子供は受けていなかった子供に比べて母斑ができやすい(3.5 vs. 1.45)ことがわかった。
博士らは、黄疸の治療で光線療法を受けた赤ちゃんについて皮膚科学的な予防措置や将来の黒色腫発生に関する調査をすべきであると考えている。
▼【Doctor’s Guide】
Phototherapy for Neonatal Jaundice Associated with Increased Risk of Skin Moles in Childhood
▼【PubMed】Arch Dermatol. 2006 Dec;142(12):1599-1604.
Effect of Neonatal Phototherapy on Melanocytic Nevus Count in Children.
日本人に比べ、欧米人は皮膚がんになりやすいといわれているため、この結果がアジア人に当てはまるかどうかは分からない。しかし、未熟児で生まれた我が家の息子は、小さいころに黄疸予防のために光線療法を受けている。
ちょっと気になる報告であった。
しかし、よくよく報告をみると母斑の大きさが2mm以下の場合と5mm以上の場合には光線療法との相関を認めていないようである。あまり深刻に受け止めることもないとは思うが、治療のための光線療法が将来の別のリスク(この場合は皮膚がん)につながる可能性があるとすれば、ちょっと衝撃である。
あまり深刻になることはないと思うが、気になる報告だ。