[Diabetes Care] カフェインは2型糖尿病患者の血糖値を上げる

Duke大学のJames Lane博士らがDiabetes Careの2008年2月号に報告したところによると、糖尿病と診断された人において、コーヒーなどに含まれるカフェインの摂取は血糖値を上げる作用があるらしい。

研究者らは、少なくとも半年以上の罹病歴のある糖尿病患者10名(平均年齢63歳)を対象に、カフェイン500mg(コーヒー4杯相当)のカプセルを摂取させ、24時間血糖モニタリングによって血糖値を測定し、血糖値の変化を別の日にプラセボを摂取したときの変化と比較した。

その結果、カフェインを摂取した被験者では平均血糖値が最大8%増加し、食後の血糖上昇の程度も大きくなることがわかった。今回の研究は、日常生活の中でのカフェインの影響を追跡したはじめての検討であり、著者らは、糖尿病患者が血糖管理をするにあたっては食事からカフェインを排除するのが良いだろうと述べている。

著者らは、カフェインによって血糖値が上昇するメカニズムについて、カフェインが「攻撃逃避反応」として知られるストレスホルモン(アドレナリン:血糖値を上昇させる)の放出を促すようであると考察で語っている。また、カフェイン摂取によってアデノシン受容体に拮抗することで脂肪細胞での糖の取り込みが妨げられている結果だと推測している。

【Medical News Today】Caffeine Increases Blood Sugar In People With Type 2 Diabetes
Caffeine Increases Blood Sugar In People With Type 2 Diabetes
【Eurke Alert】Cutting caffeine may help control diabetes
【PMID: 17977936】Diabetes Care. 2008 Feb;31(2):221-2. Epub 2007 Oct 31.
Caffeine increases ambulatory glucose and postprandial responses in coffee drinkers with type 2 diabetes.

知の冒険でも過去にコーヒーと糖尿病の話題をたくさん取り上げてきている。そんな話題の中で、コーヒーが夜間の低血糖を防ぐというものがあった。

当時は、コーヒーが糖尿病の予防になるという話題<コーヒー関連の話題リスト>が持ちきりだったこともあり、単純に低血糖を抑制するならいいことじゃないかと考えてしまったが、これはカフェインが血糖値をあげることを意味していたのかもしれない。

一方で、今回の報告はカフェイン500mg(コーヒー4杯相当)をカプセルとして服用しての検討であり、単純にコーヒーを飲むことが血糖値をあげることにつながると解釈すべきではないと思う。

実際、2005年から2006年にかけて、コーヒーが糖尿病予防や肝硬変の予防に効果的であるという話題が続いていたが、コーヒーのよい作用がカフェインの作用とは別物であることも報告もされている。

本来、コーヒーとカフェインは区別して語られるべきだが、しばしばマスコミではカフェインの話題をコーヒーと結びつけて語られる。このほうが読者受けするために「知の冒険」でも両者を明確に区別しないまま扱ってしまったこともあった。ちょっと反省。