やった!
柔道の世界大会決勝戦で、青色柔道着になった選手は心なしか勇気付けられることがあったかもしれない(なかったかもしれない)。
アテネ五輪の成績分析から、これまでに柔道では白色と青色の柔道着では青色の方が有利で、レスリングでは青よりも赤色側の勝率が高く、格闘技において着衣の色が勝率に影響するかもしれないと指摘されていた。しかし、本当にそんなことがあるのだろうか?
トーナメント形式の場合、トーナメント表で左右どちらの側にいたかによって、直前の試合の影響を受けやすくなっているかもしれず、割り当てバイアスがあったかもしれない。
今回、グラスゴー大学のDijkstra PDらは、トーナメント形式の71大会からシード選手が青色柔道着を着るといった慣例など、勝率に偏りが生じそうな試合を除外し、合計501試合の結果を分析し、青色柔道着が本当に白色柔道着よりも有利なのかどうかを探ることにした。
解析の結果、青色柔道着の勝率は50.7%であり、柔道着の色によって試合結果に差がでるようなことはないとわかった。
▼【PMID: 18270157】Proc Biol Sci. 2008 Feb 12 [Epub ahead of print]
No effect of blue on winning contests in judo.
▼【Proceedings of The Royal Society B ISSN: 0962-8452 (Paper) 1471-2954 (Online)】No effect of blue on winning contests in judo
2004年のアテネオリンピックの結果から着衣が勝率に関係あるといわれたりすると、なるほど、「青や赤は相手に威嚇的な印象を与えるからだ」とか、「白は膨張色で目立つし、動きが読まれやすいんじゃないか」という、もっともらしいことを言われるとつい信じてしまいたくなるものだが、着衣で試合結果に差がないというのは、特に驚くべきことではないのかもしれない。
しかし、色というのは、人の精神活動にも影響を及ぼすものだろうから、色によって何かが異なることはあってもよいと思う。
ずいぶんと前になるが、知の冒険では交通事故を減らすために車は何色が良いか?[BMJ]という話題を取り上げたことがある。このときには、”白”よりも”シルバー”の方が事故による重症例が少ないという結果だったが、果たして色と人間の行動の関係はいかに?
英国という国は、こうした色の問題をまじめに議論するお国柄らしく、今後もジョークのようなこの種の研究がなされることを待っている。