緑茶の胃癌予防効果は非喫煙者に限る [Cancer Epidemiol Biomarkers Prev]

厚生省の多目的コホート研究の成果がCancer Epidemiol Biomarkers Prevの2月号に掲載された。

40~69才の男女36,745 名の生活習慣や疾病を1990年および1993年から2004年までの約12年間追跡調査し、血漿中の緑茶ポリフェノールと胃がん発生率との関連を調べた。

調査期間中に胃がんと診断され、関連データがそろっていた494名(男331名、女163名)について、年齢・性別・居住地域・採血時の条件を合わせた対照の被験者を同数選び出し、合計988名についてコホート内症例対照研究を実施した。

今回の研究では、緑茶を飲む回数を単純に尋ねるのではなく、血漿中の緑茶ポリフェノールやエピガロカテキン3ガレート(EGCG)、エピカテキン(EC)等を測定し、実際のカテキン摂取量の差を把握しようと試みている。

この点は、従来の疫学調査と一線を画すものであろう。

そして、研究者らは、カテキン量に応じて3グループに分けて胃癌のリスクを比較した。

その結果、EGCG濃度が高い女性では、胃癌のリスクが低いことが分かった。一方、男性ではこのような関連は認められず、逆に、EGC濃度が高いと胃癌のリスクも高かった。

非喫煙者ではEGCG濃度が高いと胃癌のリスクが低いのに対し、喫煙者では逆にリスクが高くなることから、男女差が生まれた理由については、男性で喫煙者が多かったことが結果に影響したと推測された。

今回の報告から、緑茶に胃癌の予防効果があるとしても、タバコを吸っていると緑茶の効果は期待できないという可能性が考えられる。

【PMID: 18268118】Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2008 Feb;17(2):343-351.
Plasma Tea Polyphenols and Gastric Cancer Risk: A Case-Control Study Nested in a Large Population-Based Prospective Study in Japan.