[J Sex Med] 潮吹きは過活動膀胱と関係するか?

女性の射精(female ejaculation)とも呼ばれる潮吹き(しおふき)は、女性器から何らかの分泌物が性行為中に噴出する現象をいい、何がどこから、何故出てくるのか未だに謎に包まれている。

謎であるがゆえに諸説あり、有名なものではGスポットで知られるエルンスト・グレフェンベルグの研究がある。しかし、これといって支持される有力な説もなく、俗説があふれているのが現状である。

潮吹き →Wikipedia
Gスポット →Wikipedia
Female ejaculation →Wikipedia(英語)

この謎の現象は、果たして何か別の疾患と関係するのだろうか?

King’s College HospitalのCartwright R氏らはあることを調査しようと思い立った。彼らが着目したのは過活動膀胱(OAB)という疾患である。

過活動膀胱は、近年潜在的な患者数が非常に多いとして注目されつつある疾患である。この疾患は急にトイレに行きたくなりどうしようもなく我慢できない状態(尿意切迫感)が繰り返され、頻繁にトイレへ行ったり、時にトイレが間に合わずに尿をもらしてしまうものである。

一般に女性は男性に比べて尿道が短く、尿道を支える筋力が弱いために男性に比べて尿漏れを起こしやすい。そして、高齢になるほどこの過活動膀胱という疾患は罹患率が高くなる。

我慢できずにもれるという点でなにやら性行為中の潮吹きに似ているではないか。研究者らは、潮吹き経験のある女性6名と経験のない女性6名に排尿日誌を3日間つけてもらい、尿失禁スコアなど尿にまつわる質問を試み、結果的にどの女性も過活動膀胱ではなかったことを報告した。

潮吹きの経験を持つ女性の排尿は正常であり、潮吹きを経験した女性が過活動膀胱になるということもなく、下部尿路症状のない潮吹き女性をこれ以上検討する必要はなさそうであった。

【PMID: 17634057】J Sex Med. 2007 Nov;4(6):1655-8.
Do women with female ejaculation have detrusor overactivity?

タイトルからおやっと思って目を通してみたものの、ちょっと肩透かしの結果であった。しかし、逆にこのような一見肩透かしのような試験結果がちゃんと発表されているところが面白い。