[Nat Med] 運動で気分が晴れるときに働く遺伝子

エクササイズで気分爽快!

運動には多くの健康上のメリットがあり、運動した後の気分爽快感も抑うつ状態を改善するうえで大切な要素の一つである。しかし、なぜ運動に抗うつ作用があるのかについて、その仕組みは十分にわかっていなかった。

:idea: エール大学のJoshua G Hunsbergerらは、気分や抗うつ反応に関わるとされる脳領域の遺伝子を調べ、マウスの脳で運動に応じて発現が変化する遺伝子のなかにこれまで知られていなかった特性を見出した。

:?: Nature Medicineの12月2日号オンライン版に掲載された報告によると、研究者らはマイクロアレイ技術を用いてマウスにおいて運動によって制御される遺伝子群を調べた結果、運動によってもっとも強く亢進される遺伝子のひとつとしてVGF遺伝子を見出した。そして、マウスに合成VGF由来ペプチドを投与するとマウスは強い抗うつ反応を示した。一方、VGF変異マウスでは逆の作用が見られたのである。

VGF遺伝子は、神経シナプスの可逆性や代謝に影響を及ぼすペプチド前駆体蛋白をコードしていることが知られているものである。今回の結果は、VGFの新たな役割を示すものであり、運動によってVGF遺伝子が働き、気分爽快感を演出している可能性があるというわけである。

創薬の立場からいえば、この結果はVGFが抗うつ薬の治療ターゲットのひとつになる可能性を示しており、この観点からも興味深いものである。
Nature Medicine Published online: 2 December 2007 
Antidepressant actions of the exercise-regulated gene VGF