[Science] 間違いから学ぶ能力に遺伝的な違いがあった

ほんま、あいつは何度も同じ間違いを繰り返すよな!!
出来の悪い後輩の指導に思わず愚痴を言いたくなることがある。

:idea: 1回の間違いはしかたがないとして、同じ間違いを何度も繰り返してもらうと困ったものである。Klein TAらがScienceに報告したところによると、間違いから学ぶ能力の個人差にはドーパミンの働きの違いが潜んでいたようだ。

:?: 研究者らは、間違いから学ぶ能力に対するドーパミンの役割をみるため、ドーパミンD2受容体の遺伝子多型DRD2-TAQ-IAに基づいてヒトをグループ分けし、神経画像検査を活用しながら間違いを学習する過程を観察することにした。

間違い学習はモニタリングとフィードバックを繰り返すことで行われた。その結果、ドーパミンD2受容体発現が少ないA1対立遺伝子を持った人たちで間違い回避の効率が低く、A1対立遺伝子を有する被験者では、後内側前頭皮質(pMFC)の反応が他の群に比べて低くなっていることがわかった。

本研究により、間違い学習にはドーパミンのシグナル伝達が必要であり、ドーパミンD2受容体が減少すると、間違いを犯したことへの感受性が低下すると考えられた。

【PMID: 18063800 】Science. 2007 Dec 7;318(5856):1642-5.
Genetically determined differences in learning from errors.

😯 もしかしたら、何度も同じ失敗を繰り返す、”あいつ”の脳ではドーパミンD2受容体が少なくなっているのかもしれない(そうでないかもしれない)。