骨粗しょう症は、何らかの理由によって骨密度が減少して骨がもろくなって骨折しやすくなってしまう病気です。骨にはカルシウムやりんなどのミネラルが多く含まれ、カルシウムを適切な量、摂取することは骨密度を維持するためにも不可欠です。
これまでにカルシウム量を調節する生体内の物質として、ペプチドホルモン(PTH)やビタミンDなどが知られていたましたが、今回、京都大学のAkihiro Imuraらは、新たに脳の中にあるある種のたんぱく質がカルシウム代謝を調節していることを突き止めました。
α-klothoは早期老化と関連する物質として認識されています。また、α-klothoは、脳脊髄液を作り出す脳脈絡膜やカルシウム濃度の低下を感知する器官の上皮小体(副甲状腺)に存在するとされます。
彼らは、マウスを用いた実験により、細胞外液のカルシウム濃度が低下すると、α-クロトーがNa+,K+-ATPaseと結合し、Na+,K+-ATPase活性によって作り出されたNa+勾配を介して、腎臓のイオンチャネルやトランスポーターに働きかけ、上皮小体からのPTH分泌を促進させ、カルシウム代謝に関わる可能性を明らかにしました。
▼Science 15 June 2007:Vol. 316. no. 5831, pp. 1615 – 1618
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/316/5831/1615
α-Klotho as a Regulator of Calcium Homeostasis
高齢化社会を迎え、骨粗しょう症はますます増えつつある。今回の検討によりカルシウム調節に関わる物質が改めて発見されたことは、今後の治療薬開発にもつながる成果だと思われる。