彼、個性的だよ
彼女も個性的だね
ところで、個性ってなんなんだい?
個性はヒトだけでなく、他の動物種にも存在することがわかってきている。
「個性」の進化は不思議な存在で、ある状況での行動傾向には一貫した個体差が存在し、個性と動物進化の過程には不可解なことが残っている。なぜ、異なった個性が進化の過程でひとつに収束していくことなく「個性」として残り続けるのだろうか?
今回、University of Groningen(オランダ)のM Wolfらは、生活史に関する数値解析モデルを用い、動物の個性は適応という観点で説明できるとNature5月31日号に報告した。
彼らの考えでは、現在と将来行う繁殖の間のトレードオフ(trade-off)がしばしばいくつかの個性(多型的な個体群の進化)を生み出している。
トレードオフとは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反の状態・関係のことをいい、このトレードオフのある状況では、具体的な選択肢の長所と短所を見極め、判断した上で決定することが求められる。
もし、ここに冒険的行動を取る個体と、適応することで将来得られるメリットを重視する個体がいたとしよう。
将来に期待を寄せ、失うものが大きい個体は、期待度が低い個体よりもリスクを嫌うはずである。このようなことは、リスクを伴うすべての状況において個体ごとに一貫して認められるだろう。
Worfらによれば、この基本原理が動物の個性につながり、リスクをはらむ状況にどのように立ち向かうかは、現在と将来の繁殖行動間のトレードオフに基づき各個体が決定し、これが動物個体郡内における個性の存在とその基盤になっているのだそうだ。
個性は、適応から生まれるのかもしれない。
▼【PubMed】Nature. 2007 May 31;447(7144):581-4.
Life-history trade-offs favour the evolution of animal personalities.
なんだか、わかったようでよくわからない説明だ。ただ、自分の身に置き換えてみると、転機を迎えたときの人々の行動として考えるとわかりやすい。
近頃、安定な生活を捨てて冒険的試み(ベンチャー起業)に身を投じる人が身近に増えてきた。僕も冒険したいという気持ちを持っているが、はたして自分は冒険できるのか?と迷うこともある。
今、日々、トレードオフを迫られている思いがするのだった。