[Diabetes] 体脂肪蓄積と冠動脈石灰化の関係

どうして糖尿病患者は動脈硬化を起こしやすいのかな?
食べすぎで脂肪分を多くとっているからかもしれないよ。
いや、もしかしたらインスリン抵抗性が関係しているのかも?

糖尿病患者では、冠動脈のアテローム性硬化に起因する心筋梗塞や心血管疾患による死亡リスクが高いといわれている。今回、イリノイ大学のMazzone Tらは、心疾患の兆候がない2型糖尿病患者を対象に冠動脈のカルシウム沈着と脂質や代謝因子との関連を調べた。

その結果、ApoBやtriglyceride-rich lipoprotein cholesterolが冠動脈の石灰化と強く関係するが、年齢や性差を補正すると冠動脈の石灰化と炎症マーカー(高感度CRP、lipoprotein-associated phospholipase A2、ICAM-1、VCAM-1)や代謝因子(HbA1c、インスリン抵抗性、遊離脂肪酸)、糖尿病の罹病期間には関係がなく、さらにリポ蛋白で補正した場合、従来から指摘されている加齢や収縮期血圧、人種のみが冠動脈石灰化の因子であることがわかった。

体脂肪蓄積はApoBやtriglyceride-rich lipoprotein cholesterolの上昇につながり、このことが動脈石灰化を起こしている可能性が示唆された。

【PubMed】Diabetes. 2007 Mar;56(3):849-55.
Relationship of traditional and nontraditional cardiovascular risk factors to coronary artery calcium in type 2 diabetes.

細かいマーカーをとやかく論じるよりも、昔ながら指摘されていることがやっぱり、主なリスク要因であるということもいえるように思う。当たり前の結果だとは思うけれど、その当たり前を確かめた意義は大きいのかもしれない。